BS海外ドキュメンタリー「捨てられる養子」Disposable Children(2016)

松居和という人の保育の講演を動画サイトで見た。ちょっと衝撃的だった。私が薄情なのは子育てと関係していたのか・・・と思ったからだ。その彼のブログにこの番組が紹介されていたので見た。フランスの番組制作会社が作ったアメリカの養子の現状を描いたドキュメンタリーだ。アメリカでは養子縁組をした親が子どもと上手くいかないと、勝手にインターネット上に子どもの写真を載せ、里親を探し、子どもを引き渡すというのだ。英語のタイトル、Disposable Children。簡単に捨てられる養子だ。知らなかったアメリカの現状に驚いた。日本ももっと養子縁組が進めばいいのにと思っていたので反省した。松居和さんはアメリカ在住歴が長く、今は保育の本の執筆や講演をされている方だ。本業が尺八奏者らしいが、今の保育環境を愁い、アメリカのように日本がなる前に、何か手を打たねばと思って活動されているようだ。彼によると、0歳~2歳の子どもを育てることで、育てる親の方がまず「成長する」というのだ。究極の弱者である赤ちゃんが、無条件に絶対的信頼で頼ってくる状況に、人は「我慢すること」「信頼にこたえること」「愛情を育む」ことを学ぶ。赤ちゃんの無理難題に翻弄されるが、赤ちゃんの「ほほえみ」に無上の喜びを感じ、やがて無条件にその不自由さを受け入れる。そこに絆が生まれ、社会の基盤となる秩序が生まれるのだと。「保育」を社会化したことによる深刻な弊害に私たちはまだ気づいていない。保育所をただ増やして、お母さんが働きに出られればそれで良いという単純な問題ではないのだ。番組では何度も捨てられた子ども達自身が努力して、自分を引き取ってくれる養親を探そうとする。自分で親を探さなければならないほど絶望的な状況があるだろうか。フルタイムで働く両親に育てられ、その上子どもを育てる経験もない私の「薄情さ」について、今さら検証しても仕方ない。誰とも絆を持つこともなく年齢を重ねたツケがそろそろ近づいてきている。せめて赤ちゃんを育てる人々を応援したい。これ以上、日本のお母さん、お父さんたちが「赤ちゃんの微笑み」を忘れることがないように。