夜空はいつも最高密度の青色だ(2017)

池松壮亮が見たくて行った。ダブル主演の石橋静河は、石橋凌原田美枝子の娘なんだとか。芸能界も二世ばっかり。石橋静河はまっすぐ伸びた長い足とさびしげな小さな口元がいい。監督は石井裕也。「舟を編む」の監督。原作は若手詩人最果タヒの詩集で、詩集のタイトルがそのまま映画のタイトルだ。都会の片隅で孤独を抱える若者たちの恋愛を描いた物語。思った以上に純粋で伸びやかな映画だった。主人公池松君と一緒に働く工事現場の仲間の田中哲司。そのダメじじいぶりや、ガールズバー石橋静河の不機嫌ぶりから、最初はもうちょっとダークな映画かと思っていたが、至極ストレートな映画。舞台は渋谷、新宿。池松壮亮は期待通りのナイーブな青年役。朝起きて窓を開けると石橋静河のマンションの外で池松壮亮が一晩中待っている。あのつぶらな瞳がいやあ~ん。映画館の観客は4分の3が女性だった。なるほど。池松君人気ある。映画はまあまあ。あとで映画サイトに寄せられた映画評を読んだ。確かにディテールは緩い。NYへ逃げる彼女の下着姿も時代錯誤だし、やたら多弁になる池松壮亮のキャラもストーリーにあんまり絡まないし、貧乏なわりに部屋は広いし。しかし、だからといってダメでもない。ベタだがちょっといとおしい。いつの時代も都会は人々を飲み込むし、若者を惑わすし、矛盾をおしつけてくる。絶望と希望がないまぜだけど、悲惨な絶望も一握りの希望があれば跳ぶことができる。うん。きっととべるはずだ。がんばれーえー♪