ダンケルク Dunkirk (2017)

初日の劇場に行った。エヘン!臨場感ありすぎだと怖いのでアイマックスは止めて普通の劇場で見た。それでも桁外れの緊迫感。何度も鳥肌がたった。話題のクリストファーノーラン監督の新作。楽しみにしていた人も多いのだろう。劇場は男性が多い。お話は第二次世界大戦時1940年のフランスのダンケルクダンケルク大撤退(Dunkirk evacuation)として、ヨーロッパの人には馴染みのある話なのだろうが、私は全然知らなかった。ダンケルクの街は、ベルギー国境に近いフランスの海辺にある。目の前のドーバー海峡を越えれば、そこはイギリス。ドイツ軍が迫るなか、ダンケルクの海岸に英仏両軍の兵士は撤退脱出を待っている。その間もドイツ軍の攻撃は続く。防波堤から、海から、空から。それぞれの視点でこの脱出劇は語られていく。脱出を望む兵士たち。イギリスの船にはフランス人は乗せないという声。目の前の海を越えればホーム。イギリス側からダンケルクに救出に向かう民間の船。容赦なく降り注ぐ銃弾。沈没する船。海に投げ出される兵士。映像が鮮烈で、銃弾が我が身に降りかかるようだし、浸水していく水で息が詰まりそうだった。その一方で、映画の目線は冷静。見ていて生まれる戦争に対する感情は行方を失ってさまよう。人はこうした状況下ではただただ生きることに収束しホームを目指す。昨今、戦争がどんどん身近になっていくせいか、映画の中で死んでいく人間が自分になるかもしれない、近しいあの人になるかもしれないと、ぼんやりと想像した。映画の最後に埠頭に残った指揮官の言葉で少しホッとした。殺伐さの中で一条の光。やはり救われたいのだ。旬なクリストファーノーラン作品、見て良かった。