井上ひさし「自家製 文章読本」初版昭和54年

井上ひさしを続けざまに読んでいる。面白い。日本語の広い知識と並々ならぬ愛情が好きなのかも。この本は、井上ひさしの言葉へのこだわりの源泉みたいな気がする。少々こだわり過ぎてついていけなくなった部分もあったけど。言葉を生業とする人の志の高さだね。難解さも自分の勉強不足のせい。もうちょっと知識や根気があれば、井上ひさしと一緒に日本語文法の海を悠々と泳ぎ切ることができただろう。今更かもしれないが、まだまだ未来を信じて努力研鑽。それが謙虚な生き方だと思う。若いころ、素敵なお相手だったのに、結局別れてしまったのも、私にもうちょっと大きな心と根気さえあればよかったのかもしれない。長く生きて来ると同じ流れを何度か経験する。でもそんな甘い過去ももう化石。井上ひさしも鬼籍に入って久しいし。でもいい本は残る。残りの時間、できるだけ良書に出会って言葉の海を楽しみたい。幸せは自分で作るもの。ターシャテューダーもそう言ってたし。