岩﨑家のお雛様と御所人形 静嘉堂文庫美術館

こんなところにこんなお山があったとは。成城学園前駅からバスに乗って吉沢で降りて10分ほど歩くと静嘉堂文庫と美術館に到着する。美術館には岩﨑家所蔵の名品が展示されている。今回はお雛様と御所人形。お雛様は頭が大きくて3頭身くらいの愛らしいお人形だった。あんまり見たこともない雛様でちょっと感動する。三人官女、五人囃子から仕丁、お道具に至るまで見事な品々。凝った細工と技。当時のこの技は今も受け継がれているのだろうかと思った。雛道具のひとつ、犬筥(いぬばこ)が特に気に入った。張り子の犬みたいね箱で、とぼけた表情が独特。犬は子だくさんだからか夫婦和合の象徴らしい。親が娘の幸せを願って作らせたのだろう。雛様の次は御所人形。御所人形とは幼児をかたどった人形で、白い肌と真ん丸の顔が特徴。岩﨑小彌太氏の還暦祝いに奥様孝子夫人が人形職人の名人五世大木平蔵に作らせたものらしい。今にも動き出しそうな、表情やしぐさ。さすが三菱財閥。贅を尽くして作られた人形たちはずっと見ていても飽きない。時代を経ても受け継がれる作品は今はどんどんなくなっていくのかもしれない。未来は過去よりずっと素敵だと思っていた。時代は先に行けば行くほど、進化していくわけではないのだね。時間は学習しないの?見ている人間だけが老いていく?なかなか良いお山へのお散歩だった。