石川九楊「現代作家100人の字」(平成10年)

20年前の本なので、既に「現代」ではないのだが、そんなことは気にせず、石川九楊の本を初めて読んだ。時々毛筆を書いている人間なので、名前だけは知っていた。石川九楊が百人の有名人の文字を見て、色々書き綴っている。字の書き方、形、配置などからの…

野上彌生子「秀吉と利休」中公文庫(昭和48年初版)

作者が喜寿を過ぎてからの作品らしいが、重く深く緻密な話だった。重厚さに耐えきれず停滞した時もあったが、やっと読み終えた。昨今の文庫本なら上中下の三巻になりそうな分量。昭和37年に発表された作品で、私には言葉が難しかった。為政者秀吉と芸術顧問…

TBSテレビ日曜劇場「TOKYO MER~走る緊急救命室~」

鈴木亮平さんは好感が持てる。お利口で上品で、その上、人柄もよさそうだ。年頃なら親に紹介したいくらい。日曜夜9時のこの枠は、お父さんも一緒に家族が揃って見る枠なんだろう。毎度パパ好みのドラマが多くてつまらない。今回は医療系ドラマ。月9のドラマ…

石川淳「新釈雨月物語・新釈春雨物語」ちくま文庫(1991年)

上田秋成の雨月物語と春雨物語の現代語訳版。やっと読み終えた。つらかった。自分には難しすぎた。解説が三島由紀夫で昭和29年4月とあるから、新釈の現代語訳自体も半世紀前の話なのだから仕方ないか。前半の雨月物語は面白かった。怪奇的な話が好きなせいも…

Eテレ「浦沢直樹の漫勉neo 安彦良和」

ガンダムの安彦良和さんの漫勉。残念ながら安彦さんの漫画は読んだことがないが、ガンダムは今も大好き。NHKの「ガンダム誕生秘話」という番組で、安彦さんに興味を持った。少しひねくれていて、静かに闘志満々なとこが素敵だと思った。ガンダムの映画音楽LP…

石川純一「宗教世界地図」新潮文庫(平成9年)

古い文庫本の帯のコピーが「『いま』がわかる本」とある。1997年の頃の「いま」は、いまから25年前。当時の私は世界がどんな宗教地図を描いていたかも何も知らなかった。呑気な日本人の若者として海外の国々を旅していた。四半世紀前の日本は、今のようなダ…

古畑種基「法医学ノート」中公文庫(昭和50年初版)

法医といえば、ドラマ「アンナチュラル」や「監察医朝顔」が思い出される。この本が出た昭和50年には著者は既にお亡くなりになっている。あとがきを見ると単行本として出版されたのは昭和34年となっているから、今から60年も前の話である。当時、科学的捜査…

新田次郎「武田勝頼(一~三)陽・水・空の巻 講談社文庫(昭和58年初版)

先日、甲府の武田神社と韮崎の新府城跡に行った。武田信玄のことも、勝頼のこともよく知らなかったのに。ただ春の晴れた日に行った武田ゆかりの土地は、新緑の香りに満ちて美しかった。そんなこともあり、古い書棚で眠っていた3巻からなる長編を手に取ってみ…

NHK土曜ドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」

脚本は渡辺あや。意外だったが、だから好きなのかぁと思った。主役は松坂桃李君。今どきの青年がアナウンサーを辞めて大学の広報に入って、論文データ改ざんなどのトラブルに対応する話。風刺一杯のドラマで今の世相を描いている。モノが言えないテレビ報道…

鈴木大拙館

金沢に来るのは3年ぶり。鈴木大拙の本を読んだのはもっと前だ。内容は忘れたが、ここに来たいと思ったことだけは覚えていた。偶然目にした建物の名前に導かれ、雨の日に鈴木大拙館を訪問した。コロナ禍で観光客はいないのではと思ったが、予想に反して盛況。…

藤沢周平「密謀(上)(下)」新潮文庫(昭和60年)

藤沢周平の歴史物は初めてだった。江戸モノにはない緊張感があって、少し戸惑った。時代は秀吉から家康への頃、上杉景勝と直江兼続の話だ。波乱万丈の時代、景勝と兼続はただの主従関係以上の仲で、このふたりのやり取りがこの話の魅力のひとつだった。自分…

福岡 柳川水郷川下り

桜の頃に来れば美しくて何度も来たくなっただろうに。船頭さんは何度もそう言ってくれた。遠い昔に大林宣彦監督の「廃市」という映画を見て、いつか来たいと思っていた。映画の内容はすっかり忘れてしまったけど、尾美としのりと小林聡美が出ていた気がする…

半藤一利編著「昭和史が面白い」文春文庫(1997年)

この本を読むのは2回目。書棚に同じ本が2冊あった。亡父は同じ本を買ってしまったことに気がついていたのだろうか。今となっては闇の中。さて、これは先日お亡くなりなった半藤さんの対談集。最近は記憶がすぐ消えるので2回目でも楽しく拝読。半藤さんの快活…

ノマドランドNomadland (2020米)

ヤマザキマリさんのtweetで、急に思い立って見に行く。主演のフランシス・マクドーマンドは「スリービルボード」の時も驚かされたが、今回も衝撃だった。キャンピングカーで旅をして暮らす高齢者たちの話だ。旅をして暮らすと言えば、楽しそうだが、彼らは高…

小川洋子「博士の愛した数式」新潮文庫(平成17年)

先日NHK-BSで同名の映画を見たので読んだ。映画は主人公が深津絵里で、博士が寺尾聰。小説の雰囲気がそのまま映画になっていたし、配役もよかった。映画では大人になったルート吉岡秀隆が教壇で数学にまつわる話をするところから始まるが、小説では最後にル…

ちくま日本文学全集「宮澤賢治1896-1933」筑摩書房(1993年)

折角、宮澤賢治の扉を開いたのだからと、全集を読むことにした。巻末に井上ひさしが「賢治の祈り」と題して書いている。賢治の作品は、賢治その人自身と密接に結びついて読むものだと。年譜を読むと、花巻の商家の生まれだということ、二つ下の妹を失ったこ…

「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」(ポーランド・ウクライナ・英国 2019)

今どき2本立ての映画館があるなんて。時間もあったので「バクラウ」の後に見た。若きイギリス人ジャーナリストがスターリンの改革の暗部を公表するに至る話。残念ながら、ジャーナリスト魂やメディアのかっこよさが全く感じられない今、リアリティを感じな…

「バクラウ 地図から消された村」(ブラジル・フランス 2019)

友人に誘われて見た。どんな映画だろうと、前日に検索したら、西部劇でスリラーとあった。全くイメージが出来ないまま映画館へ。ブラジルの片田舎のバクラウという村が消されそうになるのを、住民が阻止するというお話。想像以上に面白かった。西部劇という…

夏目漱石「吾輩は猫である」(初出1905年~1906年)

115年前に出た作品。2021年に暮らす人間が何度も噴き出してしまった。時代を経ても生き残る作品。エリート偏屈の夏目漱石が博覧強記な知識と皮肉を存分に出している。近代小説というと、苦悩のイメージがあり、ずっと遠ざけていたが、これならいける。思いの…

芥川龍之介「羅生門」ちくま文庫『芥川龍之介全集Ⅰ』(1986年初版)

芥川龍之介の本は読みやすい。宮澤賢治と梶井基次郎の次に読んでそう思った。文章に靄のようなものが全くない。冷徹な視点とでもいうのかなあ。私にはわからない。黒澤さんの有名な映画「羅生門」を見たことがあったが、本は読んだことがなかった。本は映画…

梶井基次郎「檸檬」十字屋書店(1933年初版)

無料電子図書で近代小説を読んでいる。さだまさしの「檸檬」が昔好きだったなと思い出し、今なら米津玄師の「Lemon」なんだよなと思いながら読んだ。短いからアッという間に終わってしまった。肺病を病んでいる青年が感じる心の揺れ動きと八百屋の店先で買っ…

宮澤賢治「注文の多い料理店」新潮文庫(1990年初版)

宮澤賢治第2弾。短い童話だったのであっという間に読んでしまった。絵本で読んだことがあったが、最後は覚えていなかった。記憶は曖昧だね。ふたりの猟師が山で迷う。お腹がすいていたので見つけたレストランに入る。靴を脱げや、クリームを塗れなどの注文を…

宮澤賢治「新編 銀河鉄道の夜」新潮文庫(1989年初版)

読むものがなくなったので、無料の電子書籍を読んだ。少し前に宮沢賢治の故郷岩手県にも行ったし、アニメや映画で読んだ気になっていたけど、宮沢賢治の本をちゃんと読んだことなかったし。「銀河鉄道の夜」は、ジョバンニとカンパネルラのふたりの子どもが…

井上靖「後白河院」筑摩書房(昭和47年初版)

井上靖の本を今頃好きになって読んだ。私が良さを理解するのにはこのくらいの年齢が必要だったということだ。重厚なドラマも丁寧な語り口で滑らかに落ちていくから不思議。「後白河院」は4章からなり、周りにいる人たちが、語り部となり、それぞれの目線で…

岩崎家のお雛さま 静嘉堂文庫美術館

今月2回目の静嘉堂文庫美術館。梅が満開。去年に引き続き、岩崎家のお雛様を拝見する展示である。今回はお雛様と自慢の収蔵品の数々を展示している。岩崎家のお雛様は三頭身で丸顔童顔。とてもかわいらしい。三人官女も、武家づくりの五人囃子も皆、丸い。全…

TBS「俺の家の話」

年末に長瀬智也と西田敏行の「タイガー&ドラゴン」の再放送を見ていたので、最初からスーッと懐かしい気分で見ている。プロレスラーの息子長瀬智也が人間国宝の能役者の父西田敏行の介護を機会に家に帰ってくるところから始まる。高齢国日本の現実がクドカ…

「すばらしき世界」(2021)

美容院で役所広司の記事を読んで、その帰りに見に行くことにした。西川美和監督の映画。役所広司演じる三上さんの社会復帰の話である。何度も胸に迫る映画だった。六角精児演じるスーパーの店長さんが三上さんと心を通わせ始めるところ。長澤まさみ演じるテ…

NHK Eテレ「ソーイングビー2」

イギリスBBCのソーイングバトルの第2弾。毎回与えられた課題を時間内に作り、批評を受ける。作品の出来が悪いと退場していくコンテスト番組。ジャッジは、第1弾から続いている、長身男前のパトリックと、第2弾から登場の辛口だけどキュートなエズメ。的確な…

吉行淳之介訳「好色一代男」中公文庫(昭和59年初版)

井原西鶴の「好色一代男」を吉行淳之介が現代語訳にした本。現代語訳と言っても今の言葉にはなっていない。単行本が出た昭和56年の頃なら読めた人も多いのかなあ。日本人の読解力はきっと今よりはあっただろう。もちろん私は当時でも読解力はなかった。しか…

江戸のエナジー 風俗画と浮世絵 静嘉堂文庫美術館

季節外れの暖かさもあり、ちょっと散歩がてらに静嘉堂文庫の美術館まで行った。展示の最終日だったこともあって、人はたくさんいた。三菱財閥所有の錦絵やら屏風やらが展示されていた。さすが財閥、立派なコレクション。江戸のエナジーの入口は、英一蝶と円…