宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短篇コレクション下 文春文庫(初版2004年)

三冊シリーズの最終巻。読後感は一番重厚だった。やや長めの「生けるパスカル」。悪妻を持つ絵描きが妻を殺す話。悪妻ゆえに芸術性が高まるか。確かに不幸とアートは仲がいい。些細なことから破綻が始まり、クライマックスはあっという間にフィニッシュ。余…

宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短篇コレクション中 文春文庫(2004年初版)

宮部みゆき御推薦の松本清張の短篇集の2冊目。前半は悲しい女の話、後半は訳あり男の話。まさに私が思う松本清張の王道。加齢のおかげで世の中の悲哀が多少はわかるようになった。お姉ちゃんの旦那さんを愛してしまう妹の没落とか、騙されてひっそり死んでし…

宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短編コレクション上 文春文庫(2004年初版)

昭和の巨匠松本清張を読みだしたら、BSで松本清張のドラマが始まった。偶然というよりも、読んでいるから目に留まったのかもね。宮部みゆきが選んだ短編作品が上中下の3巻にまとめられている。宮部みゆきの前口上が効いていて、清張を知らない読者も巧みに誘…

陳舜臣「中国名言集 弥縫録」中公文庫(1986年初版)

最近、中国に興味がある。中国名言集とあるので読もうと思った。陳舜臣さんは神戸生まれで台湾の方だったらしい。タイトルの「弥縫(びほう)」という言葉は全然知らなかったし、読めなかった。難しい言葉も多いが、「五里霧中」「酒は百薬の長」など馴染み…

藤沢周平「闇の穴」新潮文庫(昭和60年初版)

通勤で読んでいたが、今はお風呂で読んでいる。困ったときの藤沢周平。馴染みの居酒屋のように、安心して楽しめる。短編集で今回はちょっと薄幸な話や、民話的な話が入っている。海坂藩モノとは違う味わいがある。変わらず市井の人々の感情を細やかに描いて…

柳宗悦「手仕事の日本」岩波文庫(1985年初版)

民芸の柳宗悦の日本の手仕事の本。昭和10年頃の日本の手仕事の状況を記している。北から南へ丁寧に辛辣に綴られている。芹沢銈介さんの挿し絵もあって分かりやすく楽しい。あれから90年ほど過ぎたわけだ。この中のどれくらいの手仕事が消えていってしまった…

NHK夜ドラ「伝説のおかあさん」

前田敦子のドラマが久しぶりにいい。キュートQ10以来かも。ママになった前田敦子がRPGの世界で働くママの魔法使いになって魔王を倒しに行くという話。今どきのママが抱えるいろんな問題が面白おかしく描かれている。前田敦子のお母さん役がかわいい。子ども…

37セカンズ(2019)

NHKのBS でやっていた同名のドラマを見た。良かったので映画も見に行った。テレビ版を見なければもっと感動したかな。映画は車椅子の女性が母親から自立成長していく話。主演の佳山明はオーディションで選ばれた新人。ご本人も車椅子生活らしくリアリティー…

リサ・ラーソン展 銀座松屋

コロナウイルスで自粛モードの中、銀座松屋の会場は盛況だった。展示よりも何よりもグッズ売り場がだ。展示スペース並みに広い売り場で、ところ狭しとリサ・ラーソンのキャラクターグッズが販売されている。展示の最後にリサラーソンのビデオレターが3分流…

白洲正子「日本のたくみ」新潮文庫(初版1984年)

白洲正子が日本の工芸品作家を訪ねるエッセー。彼女の審美眼の高さは言うまでもない。驚いたのは、彼女でさえも職人さんたちに取材するのは困難だったということだ。美貌とお金。好奇心と行動力。元華族のお嬢様でも駄目は駄目というのが、ちょっと嬉しい。…

2月文楽公演「新版歌祭文/傾城反魂香」国立劇場小劇場

このトシになって初めて人形浄瑠璃を見た。お昼の第二部を鑑賞。予想以上に驚きがあった。まず人形が意外に大きい。頭は小さくて10頭身。三人の男性が操作する。主な使い手だけが顔出しだが、あとは黒子である。見慣れてくると顔出しの人さえ気にならなくな…

パラサイト(韓国2019)

アカデミー作品賞の話題作。周囲はいまいちだと言う人が多かったが、私は面白かった。「万引き家族」より好きかも。映画は韓国の格差社会をコミカルに描いている。後半は流血でホラー。展開の雑然さが韓国っぽい。はっきり語らず余韻を持たせるのが好きな人…

ロード・オブ・カオスLords of Chaos(2018イギリス・スウェーデン・ノルウェー)

東京ノーザンライツフェスティバルの映画。この催しも10年目。すっかりメジャーになったせいかチケットの売れ行きは好調みたい。映画はノルウェーのメタルバンド、MANHEM のお話。メタル系の音楽に疎いので実際の話とどれくらい離れているのかは全然分からな…

NHK「心の傷が癒やすということ」

全四話のドラマで昨日終わった。柄本佑が在日韓国人の精神科医師、安先生を演じる。阪神大震災から25年。話は当時震災で心に深い傷を負った人々をなんとかしたいと必死で取り組んだ医師のドラマだった。最終回で癌におかされた安先生が言う。「心の傷を治す…

NHK「麒麟がくる」

沢尻エリカ様のおかげで始まる前から話題の大河。前作「いだてん」の低迷もあって、NHKの主な視聴者である高齢者の皆さんが待ってましたと見ているのか、視聴率はいいみたいね。主役の長谷川博己もだが、好きな役者さんがたくさん出ていてる。モックンもそう…

藤沢周平「冤罪」(昭和57年初版)

藤沢周平の初期の短編集。読み始めると、するすると江戸時代にタイムスリップできる。「武家物」と呼ばれる江戸時代のあまり石高が高くない武士の話である。いわゆる江戸時代のサラリーマンの話。筋立てがどれも面白い。滑らかな語り口は、美味しいお酒のよ…

日テレ「シロでもクロでもない世界でパンダは笑う。」

ミスパンダが飼育員さんと世の中のグレーゾーンにシロクロつけに行くお話。主演は清野菜名。ミスパンダという神出鬼没な謎の変装パンダの女性を演じている。これがカッコいい。アクション女優さんなんて久しぶりかも。飼育員は横浜流星君。人気の若手俳優。…

日テレ「知らなくていいコト」

吉高由里子が今度は週刊誌の記者を演じるドラマ。脚本は大石静。期待通り面白い。吉高由里子演じるケイトは職場に元カレと今のカレが一緒にいる。特殊だと同僚に言われる。イマドキはそんなに珍しくはないのかも。ケイトの母親は秋吉久美子。字幕翻訳者でシ…

フォードVSフェラーリ Ford v Ferrari (2019)

ル・マン、カーレースのお話。アメリカフォードが倒産のどん底からイタリアフェラーリに勝つという話だが、実際に戦うのは、フェラーリというより、同じフォードの上層部。単純なストーリーだがなかなか楽しい。カーレースの世界を私はよく知らない。レース…

主戦場(2019)

友人が面白かったというので見てみた。いやあ、面白かった。あっという間に2時間過ぎた。主戦場というタイトルだが、これは慰安婦問題を巡る戦い、バトルフィールドのお話。アメリカの映画なのである。慰安婦問題は途中から訳が分からなくなった。歴史の中…

小川眞「キノコの教え」岩波新書(2012年)

キノコは低カロリー。なので毎日のように食べている。キノコが菌類だとはなんとなく知っていたが、植物の中に菌類は含まれていないとは知らなかった。無知の極まり。スーパーで野菜の隣に並んでいても出自は全然違うのだ。こんなに年をとっても知らないこと…

井上靖「西域物語」新潮文庫(昭和52年初版)

中央アジアに行ってみたい。漠然と以前からそう思っている。シルクロードという魅惑的な言葉を聞くと今も喜多郎の音楽が耳に流れる。井上靖の天平の甍や敦煌のせいかもしれない。なぜか心ひかれる西域の話を読んでみたくなった。井上靖の文章が好きだ。大き…

ジョーカーJoker(2019)

話題の映画をやっと見た。すさんだ街、ゴッサムシティのピエロがジョーカーになるお話。主人公アーサーは心に病を抱えていた。ピエロのメイクをして街角に立つサンドイッチマンの仕事をしている。何も悪いことはしていないのだが、気味が悪い人である。それ…

NHK朝ドラ「スカーレット」

久しぶりに朝ドラをみている。「トト姉ちゃん」以来。ここ最近のはだいたい最初の2週間で脱落。辛い時代が続いた。今回は主演の戸田恵梨香が陶芸家になるというお話。貧しい家で育ち健気に生きる主人公喜美子。親の借金を払ったり、美術学校もあきらめて信楽…

日本テレビ「同期のサクラ」

遊川和彦脚本。「過保護のカホコ」「ハケン占い師アタル」と同じ系列のドラマ。高畑充希が銀縁メガネと地味スーツを着た変わった女の子サクラを演じる。大手ゼネコンに同期で入社した5人が研修でチームになる。サクラはハガネの心でマイペース。軋轢を生みだ…

日本テレビ「俺の話は長い」

小池栄子と生田斗真のやり取りがいい。気持ちがいい。ホームドラマだね。食事のシーンが多い。面倒くさい弟としっかり者の姉の会話に、母親の原田美枝子と、姉の夫の安田顕と、娘の清原果邪が加わって、絶妙な時間が流れていく。懐かしいけど、古くない。二…

藤沢周平「三屋清左衛門残日録」文春文庫(1992年初版)

主人公の三屋清左衛門は隠居して間もない男。年齢は50台後半といったところ。江戸時代のある藩の話だ。そうか、私もそろそろ隠居の歳かあ、と関係のない感慨に浸りながら読み始めた。藤沢周平の小説は上等な晩御飯のよう。新鮮な食材を丁寧に下ごしらえして…

昭和史が面白い 半藤一利編 文春文庫(2000年)

令和元年に昭和史の対談集を読む。歴史が苦手だ。よく知らない。特に昭和史はドラマで見たものを信じているところがある。恥ずかしい。なるべく今からでも勉強しよう。そう思って、半藤一利さんのならきっと面白いと読みだした。東京裁判の話や昭和天皇の話…

嶋田忠 野生の瞬間 華麗なる鳥の世界 東京都写真美術館

嶋田忠さんの写真は北海道、特にヤマセミが好きだ。ご本人のおっしゃるように、雪と氷のモノトーンの世界にヤマセミは似合う。尖った頭と真っ黒な目。小首を傾げた姿はカワイイ。そのくせ川にダイブしてしっかり獲物を捕える。厳冬に生きるハンター。極楽鳥…

火口のふたり(2019)

最初の10分を見逃した。ラーメンをふたりして食べるシーンからだった。いとこのケンちゃんが柄本佑。なおちゃんが瀧内公美。「凪のお暇」で凪ちゃんのイジワルな同僚をやっている彼女だ。体当たりの演技もだが、キレイだし、とても素敵だった。結婚を控えた…