「全裸監督」(2019)Netflix

今頃見ている。山田孝之が村西とおるを演じて話題になったNetflixの作品。全8話。面白くて一気に見てしまった。エロを描くことに邁進する村西とおるを山田孝之がまさに体を張って演じている。白いブリーフでカメラを持つ姿が目に焼き付いてしまった。村西さ…

吉原高志・吉原素子編訳「初版 グリム童話集」白水社(1998年初版)

グリム童話は初版から半世紀ほどかけてグリム兄弟によって何度も書きかえられている。現在の私たちがよく知る物語は第七版をもとにしているらしい。その初版から選りすぐったものを集めた本がこれ。残酷だったり、お行儀が悪いのやらあって、童話らしくなく…

東洋文庫ミュージアム

秋の日の午後、ただ券をもらったので駒込までお出かけした。もらわなければ行かなかったし、存在さえ知らなかったところだ。六義園の近所で立派な建物。厳重な感染予防対策をして中に入る。ここの呼び物は2階にあるモリソン書庫。洋書が一杯、照明が絶妙で…

藤沢周平「刺客 用心棒日月抄」新潮文庫(昭和62年初版)

困ったときの藤沢周平。安定の読み心地と満足が得られる。これは用心棒日月抄のシリーズのひとつのようだ。主人公の青江又八郎は剣の達人。元家老の密命を受けて脱藩して江戸へ赴く。用心棒のバイトをしながら、藩の密命を背負った特殊工作員たちを救いに行…

松本清張「点と線」新潮文庫(昭和46年初版)

松本清張が有名になった小説らしい。ドラマを見たりしていたので、おおよその中身は知っていたのだが、小説を初めて読んだ。薄いからあっという間に読めた。今では珍しくないが、アリバイ崩しがテーマである。時刻表を読み解いて犯人のアリバイを崩す。昭和…

「82年生まれ、キム・ジオン」(2020韓国)

本がベストセラーで世界中で翻訳されているらしい。古い本ばかり読んでいるので知らなかった。82年生まれの既婚女性が主人公。子育てを機に仕事をやめて専業主婦をしている。社会から切り離されて心を病んでいく女性を描いている。こういうと、メンタル弱め…

「星の子」(2019)

芦田愛菜主演の映画。お父さんが永瀬正敏、お母さんが原田知世。両親が新興宗教の熱心な信者でその娘の揺れる心を描いている。静かな映画で押しつけがましい所はないが、少し食い足らない感じもした。イケメンだけど性格の単純そうな中学教師に岡田将生。新…

阿川弘之「山本五十六(下)」新潮文庫(昭和48年初版)

巻末の解説によると、単行本が出てから遺族からクレームがついたとか。著者はそれで300ページも書きたして本書となったらしい。最初のどの部分が問題だったのか、読みたくなるね。下巻は真珠湾攻撃から始まって、山本五十六の国葬あたりまでが描かれる。上巻…

NHKドラマ10「タリオ」

全然期待してなかったのだが、見るたびに好きになっていく。浜辺美波の奇妙な小娘弁護士役もどんどんツボに入ってきて今では楽しみになってしまった。岡田将生君と浜辺美波のダブル主演。復讐代行の話。浜辺美波がいい。すっとんきょうな魅力をだして、相手…

TBS「恋する妻たち」

大石静の脚本だから、これくらい生々しくても当然なのだが、さすがだなあ。おいくつなのかはわからないが、昔から変わらず、女性のえぐさを描いてくれる。ドラマは、木村佳乃、吉田羊、仲里依紗が恋する妻たちを演じる。初回から不倫、夫の失踪、部下からの…

阿川弘之「山本五十六(上)」新潮文庫(昭和48年初版)

阿川佐和子のお父さんの本。威厳あふれる怖いお父さんのエピソードを聞いていたので、さぞかし難解なのではと思っていたのだが、全く逆。山本五十六という人間が魅力的なこともあるが、緻密な調査がうまく整理されていて、山本五十六のいた時代が生き生きと…

「浅田家!」(2019年)

懐かしい風景の中で人気の俳優さんたちが懐かしい言葉を話していた。不思議な感覚。前々から話を聞いていた映画を見た。公開から1ヶ月、終わってしまう前に見なきゃっと。写真家浅田政志さんの話。家族写真を撮る写真家で、自分の家族から始まって、いろん…

陳舜臣「茶の話 茶事遍路」朝日文庫(初版1992年) 

中国ブームが続く。陳舜臣のお茶の話。もともとは朝日新聞に連載されていたものらしい。中国のお茶の歴史かと思ったら、そんな狭い話ではなく広く深いお話。お茶を知った人間はお茶にはまり、いつしか手放せなくなってしまった。お茶を手にいれるために戦い…

陳舜臣「中国の歴史(二)」講談社文庫(初版1990年)

2冊目を 読み終えた。1冊目に劣らず面白い。これなら7冊いけそうだが、残念ながら手元には2冊しかない。2冊目は戦国時代から前漢の終わりまで。戦国時代から秦の始皇帝、項羽と劉邦、前漢の武帝が死んで大体終わる。単純に時系列で進まないので、老荘思想や…

陳舜臣「中国の歴史(一)」講談社文庫(初版1990年)

「弥縫録」以来、陳舜臣が好きになった。もう故人なのだが。ちょうど少し前から中国になぜか興味が出てきたのもあって、陳舜臣さんの全七巻の中国の歴史に手をつけた。第1巻は神話時代から春秋戦国、紀元前400年ごろまでの話である。春秋戦国時代の中国は群…

小松左京「復活の日」角川文庫(1975年初版)

映画も話題になった。私も古い書棚から引っ張り出してきて読んだ。よくできた話で面白かった。コロナ禍で都市封鎖されていく時期に読めば、状況が重なって見えただろう。作者小松左京氏がこの小説を書いたのは昭和39年。東京オリンピックの年だというのも皮…

TENET テネット(2020)

難解な映画だと最初から覚悟は決めていたものの、やっぱりよくわからないまま終わった。前半はまだよかった。後半は何が何やら。ただ面白くないわけではない。見終わったら妙な達成感があった。走り切った感。開始早々から始まる疾走は立ち止まることを許し…

池波正太郎「鬼平犯科帳(一)」文春文庫(1974年)

あの日は新幹線で読む手軽な本を探していた。古い書庫は窓もなく蒸し暑い。汗だくになって見つけたのがこれ。鬼平犯科帳の第一作。これなら完璧。テレビで「鬼平」を演じた中村吉右衛門が脳内シアターに登場。車窓を眺めるのも忘れてお江戸に浸った。池波正…

TBS「私の家政夫ナギサさん」

コロナのおかげで一時期つまらない再放送ばかりだったが、やっと色んなドラマが見られて嬉しい。通称「ワタナギ」、今季一番幸せな気分にしてくれるドラマだ。主演は絶好調の多部未華子。毎回個性的でかわいい仕事服を着てくれて目にも楽しい。主題歌はあい…

「我等、同じ船に乗り 心に残る物語ー日本文学秀作選 桐野夏生編」 文春文庫(2009年)

桐野夏生が選んだ日本近代文学の短編集。東電OL事件の「グロテスク」の作者が選ぶ作品集は予想通り教科書には載らないようなものも多かった。林芙美子や菊池寛など、そもそも手に取る気もおきない作家の作品もおかげで読むことができた。意外に菊池寛が面白…

石井妙子「女帝 小池百合子」文芸春秋(2020年4月)

話題の本を読んだ。小池さんは怖い人だと思っていたが、本当にそうだったのだなあと。これから4年もこの人を都知事として頂いて暮らしていく東京都民として、残念な気持ちになった。この本は小池さんのカイロ大学主席卒業という学歴詐称の話である。この嘘を…

浅野秀剛「浮世絵は語る」講談社現代新書(2010年)

浮世絵の考証の話だった。最初はどこに連れていかれるのやらと思って読み進めていたが、読み終えると浮世絵の楽しみ方が広がった気がした。いつ、どこで、誰を描いた作品かを考えることは、言われてみれば当たり前だが、当たり前を想像することもなく今まで…

丸谷才一「大きなお世話」文春文庫(1978年)

丸谷才一のエッセイ集。1970年前後に「アサヒグラフ」に掲載されたものを集めたもの。今からもう50年前のエッセイで、社会時評風なのでどうかなあと思ったが、時代変われど嘆きは同じ。丸谷才一の巧みな語りで面白く読んだ。当時の佐藤内閣のお粗末さを嘆く…

井伏鱒二「黒い雨」(新潮文庫

映画「黒い雨」は確かスーちゃんが矢須子を演じていた。白い肌に黒い雨が印象的な映像で、あのシーンだけ今も思い出す。小説は広島の原爆投下から数年たった頃、叔父の重松が姪の矢須子の縁談がうまくいかないことを不憫に思っているところから始まる。重松…

宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短篇コレクション下 文春文庫(初版2004年)

三冊シリーズの最終巻。読後感は一番重厚だった。やや長めの「生けるパスカル」。悪妻を持つ絵描きが妻を殺す話。悪妻ゆえに芸術性が高まるか。確かに不幸とアートは仲がいい。些細なことから破綻が始まり、クライマックスはあっという間にフィニッシュ。余…

宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短篇コレクション中 文春文庫(2004年初版)

宮部みゆき御推薦の松本清張の短篇集の2冊目。前半は悲しい女の話、後半は訳あり男の話。まさに私が思う松本清張の王道。加齢のおかげで世の中の悲哀が多少はわかるようになった。お姉ちゃんの旦那さんを愛してしまう妹の没落とか、騙されてひっそり死んでし…

宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短編コレクション上 文春文庫(2004年初版)

昭和の巨匠松本清張を読みだしたら、BSで松本清張のドラマが始まった。偶然というよりも、読んでいるから目に留まったのかもね。宮部みゆきが選んだ短編作品が上中下の3巻にまとめられている。宮部みゆきの前口上が効いていて、清張を知らない読者も巧みに誘…

陳舜臣「中国名言集 弥縫録」中公文庫(1986年初版)

最近、中国に興味がある。中国名言集とあるので読もうと思った。陳舜臣さんは神戸生まれで台湾の方だったらしい。タイトルの「弥縫(びほう)」という言葉は全然知らなかったし、読めなかった。難しい言葉も多いが、「五里霧中」「酒は百薬の長」など馴染み…

藤沢周平「闇の穴」新潮文庫(昭和60年初版)

通勤で読んでいたが、今はお風呂で読んでいる。困ったときの藤沢周平。馴染みの居酒屋のように、安心して楽しめる。短編集で今回はちょっと薄幸な話や、民話的な話が入っている。海坂藩モノとは違う味わいがある。変わらず市井の人々の感情を細やかに描いて…

柳宗悦「手仕事の日本」岩波文庫(1985年初版)

民芸の柳宗悦の日本の手仕事の本。昭和10年頃の日本の手仕事の状況を記している。北から南へ丁寧に辛辣に綴られている。芹沢銈介さんの挿し絵もあって分かりやすく楽しい。あれから90年ほど過ぎたわけだ。この中のどれくらいの手仕事が消えていってしまった…