2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

有吉佐和子「華岡青洲の妻」新潮文庫(初版昭和46年)

何度もテレビドラマや舞台になっている作品だが、原作の本を読むのは初めて。時代は江戸時代後半。場所は和歌山紀州。麻酔薬をつくり外科手術を可能にした麻酔医華岡青洲と、その母と嫁の壮絶な女の戦いの物語。いやあ濃い話。嫁にもなれず、息子も持たない…

遠藤周作「沈黙」 新潮文庫(初版昭和56年)

重いが面白かった。映画を見ているような感覚で一気に読んでしまった。江戸時代の初め、キリスト教が禁止された頃の話だ。それでもポルトガル人宣教師たちは、はるばる海を渡って日本にやってきた。やっとの思いで上陸した宣教師たち。信徒たちに保護されし…

陰影礼賛 谷崎潤一郎 中公文庫(昭和50年初版)

古い本を読んでいる。だが中身は古びていない。時代を越えて、耳元で谷崎潤一郎が話しているような、ちょっと奇跡的な感覚を持つ。電車の中では特にそう感じる。この本が書かれた昭和の初めは明るい時代ではなかった。今ならLEDライトが隅々まで照らすが…