2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

井上靖「後白河院」筑摩書房(昭和47年初版)

井上靖の本を今頃好きになって読んだ。私が良さを理解するのにはこのくらいの年齢が必要だったということだ。重厚なドラマも丁寧な語り口で滑らかに落ちていくから不思議。「後白河院」は4章からなり、周りにいる人たちが、語り部となり、それぞれの目線で…

岩崎家のお雛さま 静嘉堂文庫美術館

今月2回目の静嘉堂文庫美術館。梅が満開。去年に引き続き、岩崎家のお雛様を拝見する展示である。今回はお雛様と自慢の収蔵品の数々を展示している。岩崎家のお雛様は三頭身で丸顔童顔。とてもかわいらしい。三人官女も、武家づくりの五人囃子も皆、丸い。全…

TBS「俺の家の話」

年末に長瀬智也と西田敏行の「タイガー&ドラゴン」の再放送を見ていたので、最初からスーッと懐かしい気分で見ている。プロレスラーの息子長瀬智也が人間国宝の能役者の父西田敏行の介護を機会に家に帰ってくるところから始まる。高齢国日本の現実がクドカ…

「すばらしき世界」(2021)

美容院で役所広司の記事を読んで、その帰りに見に行くことにした。西川美和監督の映画。役所広司演じる三上さんの社会復帰の話である。何度も胸に迫る映画だった。六角精児演じるスーパーの店長さんが三上さんと心を通わせ始めるところ。長澤まさみ演じるテ…

NHK Eテレ「ソーイングビー2」

イギリスBBCのソーイングバトルの第2弾。毎回与えられた課題を時間内に作り、批評を受ける。作品の出来が悪いと退場していくコンテスト番組。ジャッジは、第1弾から続いている、長身男前のパトリックと、第2弾から登場の辛口だけどキュートなエズメ。的確な…

吉行淳之介訳「好色一代男」中公文庫(昭和59年初版)

井原西鶴の「好色一代男」を吉行淳之介が現代語訳にした本。現代語訳と言っても今の言葉にはなっていない。単行本が出た昭和56年の頃なら読めた人も多いのかなあ。日本人の読解力はきっと今よりはあっただろう。もちろん私は当時でも読解力はなかった。しか…

江戸のエナジー 風俗画と浮世絵 静嘉堂文庫美術館

季節外れの暖かさもあり、ちょっと散歩がてらに静嘉堂文庫の美術館まで行った。展示の最終日だったこともあって、人はたくさんいた。三菱財閥所有の錦絵やら屏風やらが展示されていた。さすが財閥、立派なコレクション。江戸のエナジーの入口は、英一蝶と円…

梅原猛「哲学する心」講談社文庫(昭和43年初版)

古い本を引っ張り出した。50年ほど前に発表された文章をまとめている。梅原さんが亡くなったのは2019年。今の状況をご覧になったらどんなことを言われるだろう。40台の梅原猛の文章は熱い。哲学という、とっつきにくい世界にあたたかい血を巡らせてくれたよ…