2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ちくま日本文学全集「宮澤賢治1896-1933」筑摩書房(1993年)

折角、宮澤賢治の扉を開いたのだからと、全集を読むことにした。巻末に井上ひさしが「賢治の祈り」と題して書いている。賢治の作品は、賢治その人自身と密接に結びついて読むものだと。年譜を読むと、花巻の商家の生まれだということ、二つ下の妹を失ったこ…

「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」(ポーランド・ウクライナ・英国 2019)

今どき2本立ての映画館があるなんて。時間もあったので「バクラウ」の後に見た。若きイギリス人ジャーナリストがスターリンの改革の暗部を公表するに至る話。残念ながら、ジャーナリスト魂やメディアのかっこよさが全く感じられない今、リアリティを感じな…

「バクラウ 地図から消された村」(ブラジル・フランス 2019)

友人に誘われて見た。どんな映画だろうと、前日に検索したら、西部劇でスリラーとあった。全くイメージが出来ないまま映画館へ。ブラジルの片田舎のバクラウという村が消されそうになるのを、住民が阻止するというお話。想像以上に面白かった。西部劇という…

夏目漱石「吾輩は猫である」(初出1905年~1906年)

115年前に出た作品。2021年に暮らす人間が何度も噴き出してしまった。時代を経ても生き残る作品。エリート偏屈の夏目漱石が博覧強記な知識と皮肉を存分に出している。近代小説というと、苦悩のイメージがあり、ずっと遠ざけていたが、これならいける。思いの…

芥川龍之介「羅生門」ちくま文庫『芥川龍之介全集Ⅰ』(1986年初版)

芥川龍之介の本は読みやすい。宮澤賢治と梶井基次郎の次に読んでそう思った。文章に靄のようなものが全くない。冷徹な視点とでもいうのかなあ。私にはわからない。黒澤さんの有名な映画「羅生門」を見たことがあったが、本は読んだことがなかった。本は映画…

梶井基次郎「檸檬」十字屋書店(1933年初版)

無料電子図書で近代小説を読んでいる。さだまさしの「檸檬」が昔好きだったなと思い出し、今なら米津玄師の「Lemon」なんだよなと思いながら読んだ。短いからアッという間に終わってしまった。肺病を病んでいる青年が感じる心の揺れ動きと八百屋の店先で買っ…

宮澤賢治「注文の多い料理店」新潮文庫(1990年初版)

宮澤賢治第2弾。短い童話だったのであっという間に読んでしまった。絵本で読んだことがあったが、最後は覚えていなかった。記憶は曖昧だね。ふたりの猟師が山で迷う。お腹がすいていたので見つけたレストランに入る。靴を脱げや、クリームを塗れなどの注文を…

宮澤賢治「新編 銀河鉄道の夜」新潮文庫(1989年初版)

読むものがなくなったので、無料の電子書籍を読んだ。少し前に宮沢賢治の故郷岩手県にも行ったし、アニメや映画で読んだ気になっていたけど、宮沢賢治の本をちゃんと読んだことなかったし。「銀河鉄道の夜」は、ジョバンニとカンパネルラのふたりの子どもが…