韓国ドラマは一時のように取り上げられることはなくなったが、水面下では今も根強い人気がある。韓国時代ものは特に毎度同じ宮中セットと見覚えのある俳優陣で、正直「またか」と感じることもある。それでもついつい見てしまう。韓国ドラマ恐るべし。主人公イニョプは、貴族階級「両班」で、プライドの高い娘だった。使用人の下女が戯れにイニョプの靴を履くと「けがれた」と言って同じ靴を履くことを拒み、乗って帰る輿までの数十メートルに絹布をひかせてしまう娘だ。なんだ?このいけすかない娘はと思ってしまう。いいなづけのウンギとの婚礼の日、突然イニョプの父親が謀反の罪を着せられ処刑される。娘イニョプは奴碑に格下げ、婚礼の日になんと下女になってしまう。天国から地獄へ。元婚約者ウンギは、イニョプを助けるために、下女イニョプが暮らすヒョンジョパンソ(兵曹判書)の娘ユノクと政略結婚をする。ユノクは、以前はイニョプの妹のような存在だったが、今では両班と下女の間柄、その上、夫ウンギが今もイニョプを愛していることに嫉妬し、イニョプをいびる。最初は高慢でかわいげがないと思っていたイニョプだったが、下女仲間にいじめられ、両班のユノクにいびられ、めちゃくちゃかわいそうになっていく。気がつくといつのまにかイニョプを応援してしまっている。ああ、もうダメだ、すっかり手中にはまっている。もう毎週見ないではいられない。そのうえ韓国ドラマの定番、主人公を取り巻く2人のイケメンの存在だ。今回は下男ミニョン(オ・ジホ)とウンギ(キム・ドンウク)の組み合わせがいい。「チュノ 推奴」の時の、オ・ジホとチャン・ヒョクの組み合わせと同じくらい素晴らしい。それにしても韓国の俳優さんは美しいし、演技もうまい。アップで涙をハラハラ流したり、苦痛にゆがむ表情を見せたり、少々変な設定もわざとらしさもこの演技で吹き飛んでしまう。関係ないがNHKの「精霊の守り人」が、なぜか韓国ドラマに見えてしまい、なおかつ韓国ドラマほど引き込まれないのは、なんだか悲しかった。制作費はきっとNHKの方がかけているはずなのだが。受信料返せとは誰も言わない。結局、韓国の方が圧倒的な数を作ってきているのかもしれない。ドラマ好きの韓国の視聴者を満足させてきた実力なのだろう。まあ、日本には日本のドラマの良さがある。どちらがどうではない。それぞれ自分の花を咲かせればいい。お隣の国韓国は忌み嫌う国でも溺愛する国でもどちらでもない。隣人の良いところは学び、嫌いなところは一線を引けばいいのだと思う。だが実際はそうはいかない。近しい他人ほど、なかなか冷静にはいられないものではある。