別に大した番組ではないのである。吉高百合子が新米女性検事で奮闘する話。ペアを組む中年男性事務官が安田顕。面倒くさい主人公の凛々子に手を焼きながらも暖かく見守る。ありそうな筋立てと設定。だが、なぜか気になって毎週見ているのは、吉高由里子のせいだ。ちゃらい三浦翔平もお父さんの生瀬勝久も、吉高の妹役の広瀬アリスも吉高を盛り上げるだけで可もなく不可もなく。すべては吉高由里子なのだ。昔から嫌いだった吉高由里子。長沢さとみくらい嫌いだった。全然見たいと思わなかった。しかし「花子とアン」以来、なぜか見てしまう。好きになったわけではない。ただ目が離せないのだ。美人かといえばそうでもない。しかしかわいい。恋人に振られて泣く姿。誉められて喜ぶ姿、悔やしくて負けん気の強さを出す姿、疲れてへこたれてビール飲む姿。どれも迫真の演技ではないのだが、リアルな「女子のカワイさ」が存在するのだ。そうそう、そうなんだよね。そういうことあるある~と、見ている人間の心に入り込む。吉高の控え目なカワイさが見ている人間の、謙虚なフリして、自分だってまぁまぁイケてる、っていう微妙な自信と結びつくのだ。いやあ、吉高の魅力をここまで突き詰める必要は全くない。どうでもいいことだ。どうも最近はどうでもいいことばかり明るみに出て、肝心のところは闇の中。誤魔化しの持久戦。大衆が飽きて息切れするのを待っている。「正義のセ」さえ見えやしない。だから平民は今夜も吉高見ちゃうんだよ。