日本史を読む 丸谷才一&山崎正和 中央公論文庫(1998年)

知的快楽本。背中のツボを押してもらったような心地良さが続く。博覧強記の二人が語る日本史話が実に面白くておもしろくて。こういう歴史話を少しでも聞かせてもらっていたら、もっと歴史好きになっていたかもしれない。自分の歴史教養の欠如を人のせいにするほど歴史オンチにも面白い。お話は古代から戦後まで何でも知っている二人の知的巨人が楽しそうに、にやにやしながら話している。額田大王の大海人皇子のあの歌の背景やら、白川法皇と璋子の関係や影武者徳川家康に、秀忠の悪口やら。本当に知的な人たちってなんて、かっこいいんだろうなって思いながら、こちらまで口角あげて読んでしまう。知的であることの迫力とはこういう余裕を生むのだろうね。どんなに努力しても足元にも及ばないけど、そういう人を見上げるようにして、これからは本を読んでいきたい。