パラサイト(韓国2019)

アカデミー作品賞の話題作。周囲はいまいちだと言う人が多かったが、私は面白かった。「万引き家族」より好きかも。映画は韓国の格差社会をコミカルに描いている。後半は流血でホラー。展開の雑然さが韓国っぽい。はっきり語らず余韻を持たせるのが好きな人には逆にこの辺りがマイナスらしい。ポンジュノ監督は「殺人の追憶」を見た。アジアンノアールで、こっちの方が日本人受けはいいかも。ポンジュノ監督は今、韓国の公安には左派の危険分子としてマークされているとか。日本でもそんな監督がいるのかなあ。主演のソンガンホは私が見る韓国映画にことごとく出ている。いつも揺るぎない存在感というか、色んな顔を見せてくれる。今回もお気楽なオヤジから激情の人まで。日本で言えば誰だろうね、今は亡き大杉漣さん?かなあ。映画後半、大雨で家族が坂の上の邸宅から半地下の我が家に逃げ帰るシーンが心に残った。大量の雨が低い方に流れ、どんどん濁流になる。汚水が流れ込む家から逃げ出して体育館で一夜を明かす。翌日、坂の上の邸宅ではガーデンパーティー。単なる対比の面白さだけてはない、何かがひたひたと迫ってくる。十分すぎるほど熟した何かがね。衣食足りて礼節ん知る。お金はシワを伸ばすアイロンみたいなもので、豊かさは心をキレイにする。もっともだ。それにしても、我が国は「翔んで埼玉」だ。「翔んで埼玉」が悪いのではない。面白かった。ただ、これが昨年を代表する日本映画だと思うとガックリなのだ。いつから私達はこんなにドメスティックになったんだろうね。