「星の子」(2019)

芦田愛菜主演の映画。お父さんが永瀬正敏、お母さんが原田知世。両親が新興宗教の熱心な信者でその娘の揺れる心を描いている。静かな映画で押しつけがましい所はないが、少し食い足らない感じもした。イケメンだけど性格の単純そうな中学教師に岡田将生新興宗教の幹部で催眠術もできる妖しい女に黒木華。さすがだね。短い出演だが、しっかり印象を残していた。原田知世の兄が大友康平。妹一家を宗教から離れさせようと奮闘する。大友康平もすっかり油が抜けてフォルテシモの面影はない。永瀬正敏原田知世もリアルな中年を演じていた。みんな年を取るのね。当たり前だけど。緑のジャージを着てタオルを頭にのせていると永瀬君も知世ちゃんも本当にカッパみたいだった。笑えない。親の考えを否定するのも、そのまま受け入れるのも、どちらも仕方がない。特にお姉ちゃんが反発したら下の子は従順になってしまうよね。自分の意思で選んだつもりでも、完全に親の影響を排除することは無理。そんな微妙なところを芦田愛菜ちゃんが繊細に演じている。凄い役者さんだわ。すえ恐ろしい。宗教に限らず自分の物差しに合わないものを受け入れることは難しい。違いを受け入れるとか、多様性とか、耳障りの良い言葉はよく飛び交うが、実際のところ、それが出来ないから困っている。排除と融合。共感と反発。私たちは強くて優しい人にならなければ。しんどくなるのは当たり前だ。