美容院で役所広司の記事を読んで、その帰りに見に行くことにした。西川美和監督の映画。役所広司演じる三上さんの社会復帰の話である。何度も胸に迫る映画だった。六角精児演じるスーパーの店長さんが三上さんと心を通わせ始めるところ。長澤まさみ演じるテレビ局の社員がどなるところ。九州のやくざの女キムラ緑子が釣りから戻った三上さんに「帰れ」というところ。ビリビリと電流が流れた。主演の役所広司が凄いのに加え、三上さんを追いかけるテレビディレクターの中野太賀も凄い。お風呂で三上さんの背中を流しながら心に決めたところ、そして最後のシーン。映画が時代を表すとすれば、この映画が持つメッセージは強いし深いし鋭い。タイトルはどういう意味なんだろう。捉え方は見た人に、ということだろう。すばらしき世界。世界の住人の小さな営み積み重ねが世界を作る。実を結ばないことも多く、小さな保身が大きな暴力を助け、小さな暴力で守られた誇りは多くの無関心で踏みにじられる。強くないけど、弱くもない。悪でもないけど、善でもない。どこまでも灰色だけど、皆、すばらしき世界を願う。いろいろ考えさせる映画だ。西川美和さんの映画、私は是枝さんのより好きだね。