半藤一利編著「昭和史が面白い」文春文庫(1997年)

この本を読むのは2回目。書棚に同じ本が2冊あった。亡父は同じ本を買ってしまったことに気がついていたのだろうか。今となっては闇の中。さて、これは先日お亡くなりなった半藤さんの対談集。最近は記憶がすぐ消えるので2回目でも楽しく拝読。半藤さんの快活明晰な物言いを思い出しながら読む。帯にもあるように、昭和はすごい時代だったとあらためて思う。戦争で負けてすっかり失った我が国は、戦後20年弱でオリンピック。戦後40年でとんでもない経済大国になった。こうなると平成の平穏ぼんやりは、昭和の波乱万丈のおかげかもしれない。さまざまな角度から昭和を語るこの本は面白いだけでなく、今では聞けなくなった証言集でもある。貴重な資料を読んでいるうちに、昭和に生まれた私は幸運だったかもしれないと思い出した。発展とともに成長してこれたのだから。新しい時代、新しいウイルス、新しい生活、これからどのようにして崩壊していくのだろう。壊して作ってまた壊す。生命は破壊と再生を避けられないのかなあ。来たるべき世界におそれおののいている場合ではない。たとえ破滅があるとしても、歩みを止められないことは、昭和の歴史を見れば明らかなのだから。