金沢に来るのは3年ぶり。鈴木大拙の本を読んだのはもっと前だ。内容は忘れたが、ここに来たいと思ったことだけは覚えていた。偶然目にした建物の名前に導かれ、雨の日に鈴木大拙館を訪問した。コロナ禍で観光客はいないのではと思ったが、予想に反して盛況。あまり大きくない建物に次々と人がやって来る。中は、資料の部屋、学習の部屋、思索の部屋の3つだけ。建物の周りに水の庭が広がっている。受付の人を始め、中にいる人がいかめしい感じなのは、哲学だからか。おかげで館内は静謐さが保たれている。学習の部屋で雨だれを見ながら本を読んでもいい。次に進むと浅い水面の外に出る。その一角にある正方形の部屋が思索の部屋。四方に開いていて、風が通り、外に向かって座るとさざめく水面が見える。思索の芽がむくむくと湧いて来そうなところ。ゆっくり座って退館。こんな場所がある金沢の街はいいなあ。ここの他にも魅力的な空間が金沢にはたくさんある。お城を中心にした街は、美しくて広々として、適度に活気もある。日本の良いところを凝縮したような街。また訪れて歩きたい。