TBSテレビ日曜劇場「TOKYO MER~走る緊急救命室~」

鈴木亮平さんは好感が持てる。お利口で上品で、その上、人柄もよさそうだ。年頃なら親に紹介したいくらい。日曜夜9時のこの枠は、お父さんも一緒に家族が揃って見る枠なんだろう。毎度パパ好みのドラマが多くてつまらない。今回は医療系ドラマ。月9のドラマも医療系だったが、日曜夜の方が好きだ。なぜなら、鈴木亮平の「善」が見たいと心が言うからだ。走る緊急救命室MERのチーフドクターは、海外の医療現場で活躍していた人。それを都知事が引っ張ってきて、という設定。ありえない。都知事役の石田ゆり子。ゆりこ繋がりの小池さんも石田ゆり子なら大満足だよね。医系技官に賀来賢人。研修医に中条あやみ。小顔が並ぶ。とにかく「ありえない」感一杯のドラマなのだが、何となく見てしまうのが、鈴木亮平の力なのだと思う。これはもう「希望」に近い。こういう人がいてほしい。誠意が見たい。正義が見たい。人道的で、博愛で、優秀な人をみたい。現実の世界には、男前の人も美人も多くないし、判断力抜群で腕のいい医師ばかりでもない。正義はおろか、世間の常識さえ、ここ最近は踏み倒され気味だ。その上、半径5メートルの日常は窮屈で平坦で、溜息ばかりが増えていく。明日からまた1週間が始まるという日曜夜に見るドラマは、そんなつまらない現実よりもファンタジーであるべきなのだろう。新型コロナウィルスが広がって1年半が過ぎている今見る医療ドラマは、どこか別の世界の話のようだ。となると今、こんな日本で「希望」を体現できるには、やっぱり鈴木亮平の超越したお医者しかないのだろう。そう思うと、少し悲しくなるが、現実は厳しい。今日も知らないところで頑張っている人々に感謝して、厳しい世の中を渡っていかねば。渡る世間は鬼ばかり橋田壽賀子さんもそう言っていた。