「竜とそばかすの姫」(2021年)

細田守監督の新作。今回もまあまあ。彼の映画は、絵、特に色彩が好きだ。今回は幼くして母親を失って、歌が歌えなくなった少女すずが歌い出すというお話。仮想現実のUという世界で、すずはアバターのBELLになる。BELLは歌える。素晴らしい歌声であっという間にUの人気者になる。やがて声を上げられずに苦しむ竜に出会い、竜を守るために、自らの正体をさらす。テーマは世界を救う小さな力。正体をさらすことがそんなに大きな力になるというところが、リアリティ欠ける気もするが、まあいい。高校生には大変な仕事だ。さて、便利になりすぎた今は、便利さが牙を向いている。コロナもゆきすぎた世界の結果なのかもしれない。警鐘はずっと前から鳴らされているが、歩みを止めることはない。SDGsとか言っても、ずぶずぶの関係はそう簡単には精算できない。これから私たちはどうやってこの災厄を乗り越えていくのだろう。この映画、少しは答えに近づいていただろうか。現実と仮想世界を、私たちは器用にパラレルワールドとして行き来している。だからといって、幸せになったかというとそうでもない。でももう一つの世界を手放すことももはや出来ない。答えは闇の中。映画は、やっぱり大きな画面がいいね。音響もいいし。映画は映画館で。私はそう思ってしまう。