「コーダあいのうた CODA」(米/カナダ/仏2021)

CODAとはろうあの親を持つ、聞こえる子どものこと。コーダの子どもは、幼い頃から親の通訳をして、聞こえない世界と、聞こえる世界の橋渡しをしている。この映画の主人公がコーダ。彼女は、家族の誰も知らないが、素晴らしい歌声を持っていると言う話。お話は単純な話だが、泣ける。映画館で隣に座ったお兄さんも泣いていた。仏映画「エール」のリメイクらしい。主役のエミリア・ジョーンズがいい声で、ジョニ・ミッチェルを歌う。シビれる。ろうあの家族、父母兄はろうあの役者さんが演じている。そんな中、手話を覚えたエミリアは、歌も凄いが、演技も上手い。多感な高校生をたくましく可憐に演じていた。彼女が出る高校合唱部の発表会、家族全員が見に来る。映画は途中から無音になる。熱唱する我が子が遠くに見る家族。耳の聞こえない人にはこういう風に見えるのかと実感した。母親が主人公の娘に、生まれた時に耳が聞こえると分かってがっかりしたと話す。聞こえる世界と聞こえない世界はパラレルワールド。どちらも欠けていないが、両方とも欠けているのかもしれない。戦争が始まった。遠い国の話だが、今までとは違う何かを感じる。モヤモヤした気分だったが、映画のおかげで少し回復。あいのうたがしみる。