再開館を寿ぐ「三番叟」「二人袴」パルテノン多摩

野村万作、萬斎、裕基の野村親子3代揃っての狂言と舞の公演。三番叟は萬斎。二人袴を万作さん、裕基君が演じる。万作さんはなんと90歳の舞台。それがまた素晴らしい。まさに神。日本の宝、さすが人間国宝だ。動き、表情、居ずまい、孫裕基くんが演じる息子役との掛け合いの妙といい、どれもこれも素晴らしい。狂言の持つ軽やかさが実に心地よかった。舞は萬斎さんの十八番、三番叟はこけら落としの舞台にふさわしい演目だ。今から30年近く前に見た若かりし萬斎さんの三番叟とは違った舞に多少の動揺もあったが。あのときに感じた陽のエネルギーから、今回の重のエネルギー。55歳の萬斎さんの舞からは忍従する人々が願う五穀豊穣への思いが深く感じられた。万作さんの孫に当たる裕基君は見事に二人袴のおとぼけ婿殿を演じ、萬斎さんの重厚さと対照的でもあった。隔世遺伝と言うが、裕基くんは万作さんとよく似ている。天性の陽というのだろうか。3代それぞれの狂言を見て、沈みゆく我が国を憂いてばかりではいけないなあと反省した。隗より始めよ。自分の意識を変革せねばと心新たにした。今週末は選挙だしね。