「ルードヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡」 国立新美術館

毎日書道展を見に行った時に気になった展覧会。12時の回からの入場券だったが、余裕があったようで11時から入場できた。館内はちょうどいいくらいの人の入りで、一枚一枚ゆっくり見られ、最高の鑑賞空間。ケルンにある個人の収集家ルードヴィヒ夫妻が寄贈して作った美術館の作品展。ドイツの20世紀、第一次世界大戦やら、ロシア革命、そして第二次世界大戦へと進むなか、集められた美術作品からは時代のムードが色濃く感じられた。今の社会のムードともどこか似通ったところもあり、空恐ろしい気持ちになった。油絵、彫像、写真、インスタレーションなど、多彩で飽きない。仕上げに美術館内のカフェで、特別メニューのケーキとお茶のセットをいただく。至福の時間。マイナーな展示だったが、面白かったし、今見るべき展示だとキュレーターの心意気も感じた。コロナ禍だからというわけではなかったが、エアコンがよくきいていて、薄着で出かけたので冷え切った。暑がりの人には最高に気持ちいいかもしれない。最後のミニ映画で、ルードヴィヒが言っていた。個人でしか収集できないものを、いづれ時が来たら、寄贈する。それが使命だと。美術収集という未知の世界にも縁遠いがゆえにあこがれる。美術とはこうした市井の人々の熱意が伝えていくものかもしれない。自分はこうしてただ見に行くしかないが、これも美術の何かに寄与できるといいのだが。そして、不穏な世界に飲み込まれないように、自分の立ち位置をもう一度確認しないと。そう思った夏の1日だった。