「ザ ホエール」(2023アメリカ)

超肥満の中年男性の最後の数日間を描いた作品。主役のブレンダンフレーザーはアカデミー賞主演男優賞を受賞している。超肥満の男性の心模様とタイトルの鯨に惹かれて見に行った。体重270キロのチャーリーは立ち上がると鯨のような巨体で、今は自力では立ち上がることも出来ない。大学のオンライン講師をして生計をたて、友人で看護婦のリズが彼の身の回りの手伝いをしている。そこにニューライフというキリスト教の布教青年が現れ、離婚して生き別れていた高校生の娘が現れる。チャーリーはアランと恋に落ち、妻子を捨てた。その最愛の人アランを亡くしたことで太りだし巨体となった。この映画は元々は舞台の話だったらしい。ほとんどのシーンが動けないチャーリーがいるリビングなのはそのせいだ。巨体の男の物珍しさもあって、すぐに引き込まれたが、終わってみると肩透かし感があった。白鯨の話や、宅配ビザの男の話、最愛のアランの話など、私にはもう少し説明が必要だった。ただ壮絶に太っていく人の凄まじい孤独は胸に迫った。disgusting、私にはこの単語の持つ雰囲気がよく分からないが、この言葉を投げかけられることがどれほどの痛みを生むかは容易に分かる。しかし、どんな最悪にも必ず救いが訪れる。それが宗教なのかしらん。どんな人生てあれ、誰かを思いやることができれば、それで人生は成功。とはいえ、気がつくと、自分のことばかり思いやっている。最後の瞬間にはそうなるのだろうか。どうもまだ私の最後は来ていないようだ。