NHKEテレ「日曜美術館」で存在を知った。いつか行ってみたいと思っていたところに、友人からの誘いがあり訪問実現。当日は曇天の午後。ホームページには晴天でも曇天でも、雨天でもそれぞれの美しさを味わえるとあった。本当にそうだった。相模湾を臨むみかん畑の一角に広大なアートスペースが広がる。観覧は予約制なので、程よく人がいる。夏至の日には相模湾から登る太陽が真っすぐ入るという縦長のギャラリー。右側には杉本博司さんの写真が並ぶ。左側は柱がない透明なガラスが並ぶ。異空間への誘いは精密な未来空間なのだけど、見渡せばみかん畑で、先端は海。タイムリープしたようだ。目の前の海はどれだけ時間を経ても私はここにいると囁いているようだった。冬至の日が入る回廊は金属に囲まれていて、切り取られた海は薄明るい。これまた不思議な吸引力があって海に吸い込まれそうになる。随所に歴史ある石が置かれていた。貰った冊子をあとで読んで知ったが、いろんな場所で生きた石だ。石の鳥居の前には茶室「雨聴天」がある。雨の音を聴いてお茶をいただいたら、さぞかし濃密な時間が味わえるだろう。次々と妄想がひろがる。緩やかな勾配の野道をたっぷり歩いた後、ストーンエイジカフェで柑橘ソーダをいただく。まだまだ蒸し暑い日だったので、無農薬のミカンのソーダは体に染み入った。「万事汁す」。眺めもよくマッタリとする。別の季節に訪れたらまた全然違うものを見せてくれそうだ。一回で味わい尽くせない場所。すべては一期一会だが、再訪の期待をしつつ別れるのが私は好きだ。もう二度と会えなくなるなんて考えたら悲しい。たとえそうなっても、別れる時は「また会いましょう」がいい。