「J ・エドガー」(米2011)

クリントイーストウッド監督、ディカプリオ主演ということで以前に録画した映画。アメリカFBIの長官を長く務めた人の伝記なのだが、演じるディカプリオが上手すぎる。野心溢れる青年エドガーの屈折具合から、老年の頑固で老獪なフーバー長官まで実に見事に演じていた。エドガーには生涯を共にした人が2人いた。ひとりは秘書。彼女には若い頃プロポーズしたが断られた。秘書ならOKと言われ、個人秘書として死ぬまで雇う。また彼女は秘書としてエドガーを支え、死後も彼の秘密を守った。男女でありながら、よくある愛情関係でないのがいい。もうひとりは、仕事の片腕の副長官で、彼を生涯愛し最後は一緒に暮らしていた。母親を終生愛し、結局他の女性は愛せなかった。人生は仕事ひとすじ、晩年は毎日注射を打ちながら仕事に執着した。有能だが不器用でイビツだった彼を見ていると、全く何もかも違うのだが、自分のイビツさにも響いてきた。誰もが最善を探して生きている。他人からは理解できなくても、人はその人自身の正義に生きている。正義はひとの数だけ多様で豊富で、共通の正義は実は存在しないのかもしれない。全くは重ならなくても、そこに最善を探す努力が大切なのだろう。努力が足りない、甘えた日々を生きてきた自分に響くのはそのせいかもしれない。映画は甘っちょろくない説得力があったな。格好よく見せてくれたディカプリオとクリントイーストウッド監督にあらためて感謝。やはり録画しておいてよかった。