録画してあった小津安二郎監督の名作デジタルマスター版を見た。妻を亡くした初老の男が同居している婚期にある娘を嫁に出すまでの話である。小津ワールド全開の映像と台詞で、小津映画好きにはたまらない感じである。静かで余計なものは何にもない計算された世界は、雑味のない旨さを感じる。小津映画お馴染みの笠智衆が父で、娘は岩下志麻である。以前、内田樹さんが言っていた記憶があるのだが、男にとっては娘と暮らすのが1番の幸せらしい。父親が苦手だったのでよくわからないのだが、確かに映画の笠智衆は娘との暮らしで幸せそうだったし、婚礼の夜はしこたま飲んで酔っ払っていた。映画の描いている昭和の時代は今見ると煙草やお茶くみ女性、セクハラ発言もがあって、ちょっと驚く。それでも今にはない、緩さや奥ゆかしさのようなものがあって、懐かしくホッとさせてくれた。もう亡くなって十数年たつ父親のことを少しだけ思い出した。幸せってなんだろうね。