フジTV「海のはじまり」

これもフジTV。大ヒットした「silent」と同じ脚本家で、目黒蓮で行きましょうとなったのかな。はたまた、目黒蓮君で当て書きしたのかもしれない。今作でも、目黒蓮くんはsilentと同様に、ナイーブな青年を演じていた。昔の彼女が古川琴音で、今の彼女が有村架純。そこに巨匠大竹しのぶが参戦。宮藤官九郎のドラマてはついていけなかった私も、生方美久さんのドラマはなんだかしっくり行けそうかも。目黒蓮君演じる男性は限りなく、女性目線に合う男性なのである。寄り添い過ぎてリアリティがないほどだ。お話はなかなかエグい。学生時代の彼女が実は中絶せずにこっそり出産していた。音信不通だった彼女が急逝し、葬式に出たら、7歳の娘が現れて、「パパはいつ始めるの?」と聞く。男性からすれば、なかなかのホラーかもしれない。さあ、目黒蓮君はどんなパパになって大竹しのぶと渡り合うのだろうか。とりあえず、silentほどの胸キュンはまだない。今回は目黒蓮君の最寄り駅は経堂。生方さんはこの沿線が好きらしい。そもそも男の人には、苛立つほどの鈍感力かある。他人の子どもだって、「あなたの子よ」と言われれば、せっせと餌を運んでくるようなオオルリかヨシキリのようなところがある。そこが救いであり愛おしいところでもある。託卵させる鳥をヒドイ奴だと思う一方、それくらいのことを、やれる女性を尊敬もしてしまう。勝手なものだし、図々しい。今でも強く生きているつもりだが、もっともっと強くいきたい。

 

フジTV「新宿野戦病院」

宮藤官九郎の新作ドラマ。朝ドラ「虎に翼」の出演者もたくさん出てるし、小池栄子高畑淳子橋本愛と豪華な布陣である。まあまあ面白かったが、ちょっと濃すぎた。「不適切にもほどがある」にも同じような感じを受けた。原因は中年男性である宮藤官九郎のニオイかな。面白いんだけどぉ、わたしはいいかなって感じ。同年代男性の話を聞いているような感覚で、微妙な居心地の悪さに襲われるのである。塚地の看護師さんはよかった。小池栄子の英語は辛かった。濱田岳のおまわりさんと橋本愛ちゃんはもっと見たかった。文句はあるが、きっと毎週見るだろう。まだまだ展開が面白そうだし。だが、大好きではもうない。今まで、人は話せば分かるとか、理解はしあえるとずっと思っていた。ここ最近の驚きは、思いのほか年齢が増すほどに寛大さが減ってきているということだ。些細な違いが深い溝になる。老いてきて自信が目減りしてきたせいか、傷つきやすくもなっている。初めて老い。誰もがそうだし、人生はいつも初体験なのだが、この偏狭さが自分の身に起こっているという軽い衝撃が今の私のトレンドだ。このドラマに流れる男性性みたいなのが、どうにも受け入れられないのもそのせいか。女性ホルモンの減少が関係しているのかしらん。クドカンのドラマは好きなのだが。

はじまりのうた Begin Again (2015 米)

音楽映画が好きだ。セリフが歌になるミュージカル映画のことではない。音楽にまつわる映画。この映画はライブハウスの映像から始まる。ステージの男性ボーカルが「次はガールフレンドに歌ってもらう」と言う。客席から嫌々ステージにあがった女性が歌う。このシーンがそのあと視点を変えて3回出て来る。同じシーンを別視点で重ねて見せることで、偶然性が強調されて面白かった。落ちぶれかけた音楽プロデューサーはある女性ミュージシャンに光明を見いだす。ある女性は、音楽仲間だった恋人が売れて、やかて浮気され別れる。そんな2人が出会いアルバムを作りだす。面白かったのは、女が男の浮気に気づくところ。長期出張から戻った彼のデモを聞いて突然騒ぎだす。アレンジが違うのだ。心の変化が音楽に出ているというのだ。男の人には驚きでも、女性なら納得の場面。アルバムを作る過程で、登場人物たちは純粋に音楽を作る喜びを見出し、愛情を取り戻したり、手放したり、成長したり、傷を癒したり。余韻を残したままの終わり方もおしゃれだった。私たちはそれぞれの世界で生きるいる。だかららこそ、声を合わせ、リズムを合わせ、作る世界は美しい。音楽はまさにそれ。Life Is beautiful、そういうことだね。

耳をすませば(実写版)(2022)

アニメ版を実写にしてもなぁと思って見始めた。天沢君が松坂桃李かぁとも思った。ただ途中からアニメ版を忘れて、見るようになった。バイオリニストを目指して若くしてイタリアに行ってしまうボーイフレンドとの10年間の遠距離恋愛。夢と現実のはざまで揺れ動く20代の女性を懐かしく見た。アニメ同様、実写版にもいやらしいところが微塵もなくて、空々しいと言えばそうなのだが、リアルがいつも見たいわけではない。オリジナルのアニメ世界を壊さないような配慮もあるのだろう。爽やかな映画だった。記憶は自由自在。大切な思い出も今となっては、本当にそうだったかはわからない。どんどん塗り替わって別物を事実だと思い込んでいるかもしれない。美しいものだけ思い出したい。ツライことや悲しいことは箱に入れて心の奥の戸棚にしまっておきたい。だんだん寂しくなるし、だんだん悲しいことも増えるし、どれだけ大人になっても、大人になりすぎたからこそか、悲しみは深いのかもしれない。映画では清野奈名が抜群にいい表情をしていた。彼女の笑みを思い出しながら、自分もこんな風に笑っていたいと思った。

すずめの戸締まり(2022)

録画してあった新海誠監督の最新作。タイトルが「すずめ」とひらがなだったので、てっきり鳥のスズメが戸締まりする話かと思っていた。いやはや、すずめは鈴芽。女子高生の鈴芽。同じ監督の作品を何本か見ていると監督の好みのようなものが見えてくる。新海監督は、地方の町と、女子高生、天地に潜む大きな力?かな。主人公の鈴芽は偶然で会った青年と廃墟で扉を見つける。たまたま手に取った石の猫像の穴から大地を揺るがす大蛇ミミズが現れ暴れ出す。鈴芽は青年と共に、ミミズを抑えるために奔走し、やがて遠い記憶の自分と出会うというお話。新海誠作品ではこれが1番好きかもしれない。絵が好き。「天気の子」より、力が抜けてたし、「君の名は。」より丸くなっていた。アニメも漫画も絵がいのちだよと思う。さて、大きな傷を負ったあの震災から、月日は随分経ってしまった。あれからも天災は続き、悲しみは絶えない。人生は永遠に終わることのないレンガを積む作業なのだろうか。最後のレンガを積む日まで痛みの記憶を抱えたまま生きるのである。ただ人生には喜びもある。何かの機会に痛みがぶり返すように、喜びも気まぐれに訪れる。ひねくれずに淡々とレンガを積んで行こうと思う。耐えきれず積めなくなった人を責めることもなく。ただ今日を生き、明日まで眠る。その繰り返しでいいのかと思う。だんだん思考が禅的世界になってきた。映画とは全く関係ない。映画は若々しい。見ている自分がただ老いてきたたけ。

テレビ朝日「Destiny」

30台半ばの役者たちが大学生を演じているのに最初は違和感を感じた。でも石原さとみの垢抜けない大学生も、田中みなみのお嬢様大学生も意外とよかった。10年以上たって石原さとみ演じる奏(かなで)は検事になり、行方不明の元恋人亀梨和也と再会。仲間の事故死と父の自死の原因を知り、怒涛の展開が始まる。奏は元恋人の担当検事になり、元恋人はすい臓がん。医師の婚約者はその主治医。目まぐるしい展開で飽きさせない。何より大学生と検事の両方を演じる石原さとみが素晴らしい。ママになってギアが上がった感がある。あっぱれ〜。関係ないが、朝ドラの母親は石田ゆり子だが、こちらは石田ひかりが母親だ。石田姉妹も50代。こちらも感慨深い。石田ひかりは朝ドラ女優だが、ゆり子は遅れて売れてきた。姉の方が結婚向きな雰囲気だったが、実際はひかりが結婚し、ゆり子は独身のままだ。これもひとつのDestiny。運命には逆らえないのか、歩んだ道が運命だったのか。あの頃もっと勉強していたらと思うが、勉強できなかったのも運命かもしれないし、いまごろそれを悔やむのも運命。運命のインフレーション。今後どう転ぼうともきっとそれも運命。心配することなく進むのみである。すべてがDestiny〜。

 

 

フジTV「アンメット ある脳外科医の日記」

杉咲花ちゃんが記憶障害の脳外科医のお話。昨日のことが記憶出来ない主人公が毎朝日記を読んで職場に向かう。初回から無茶な設定でまごついたが、杉咲花ちゃんがあまりにもいいので案外たやすく没入できた。彼女の婚約者であったらしい三瓶先生に若葉竜也。「おちょやん」では杉咲花ちゃんの初恋の助監督だったね。今回の役は天才的な脳外科医で変わり者、婚約者の記憶を取り戻す為に奔走するカッコいい孤高の医者だ。彼がとにかくいい。ナイフのように尖っているのに真綿のように柔らかい。脇役陣は最近悪人づいている井浦新岡山天音、ふっくらした千葉雄大、前髪あげたら誰か分からなかった吉瀬美智子、性格悪い役の生田絵梨花。豪華な顔ぶれ。ヒューマンドラマかと思ったら陰謀やらミステリー要素もあり、よくわからない展開がまた面白い。しかし何といっても杉咲花ちゃん。毎回唸るほど、佇まいが自然。頬のそばかすまで光っている。浸透圧ゼロで染み込んでくる杉咲花にメロメロ。疲れた心に実にしみいるのである