2022-01-01から1年間の記事一覧

フジTV「Silent」

話題のドラマも最終回。川口春奈の大きな目からポロポロ涙がこぼれる予告を見て、目黒蓮の手話の切ない演技も、あと1回かと思うと名残惜しい。聖地巡りをしたくなる気分もわかる気がする。コーダという映画でもあったが、手話は音声言語の代わりではなく、…

ヘミングウェイ・高村勝治「キリマンジャロの雪」他十二編 旺文社文庫(昭和41年初版)

ヘミングウェイは以前にも読んでいる。今回は古い旺文社文庫で「キリマンジャロの雪」を読んだ。当時130円の旺文社文庫には巻末に年表があり、解説もしっかりあり、まさに至れり尽くせり。「誰がために鐘は鳴る」がヘミングウェイ原作であることも今回初めて…

平野雅章「食物ことわざ事典」文春文庫(1978年)

古い本だが、勉強になった。食べ物に関する諺をあげて、見開き2ページに文章が並ぶ。食べもの関係だからと、ソフトな読み口を期待していたが、物言いはクールで気難しい先生の話を聞いているかのようだった。甘ちゃんな私の日常には、背筋が伸びるような厳し…

フジTV「エルピス」

長澤まさみが抑えた演技で落ち目な女子アナを演じている。エルピスとはギリシャ神話のノアの箱舟に残されていた希望もしくは災厄の意味らしい。よく分からないのが「テセウスの船」みたいでおしゃれ。眞栄田ゴードンは恵まれた家で育ったの甘ちゃんディレク…

佐藤優 聞き手・斎藤勉「国家の自縛」産経新聞社(2005年)

佐藤優さんの最初の本が面白かったので、これも読んでみた。産経新聞社から出ているので、前回のとは少し味わいが違う。プーチンが最初に大統領なった頃の本なので、今の情勢と合わせてみると興味深い。佐藤優さんは、外交官は国のために命をかけて働くのが…

塚本和也(写真・文)「遥かなりC56  ポニーの詩情と宿命の行路」JTBキャンブックス(平成13年)

頂きモノの本。SLの写真集かと思いきや、高原列車C56の誕生から廃車に至る詳細な記録だった。昭和10年にできたC56は小さい体だが馬力があるので、標高が高い小海線を走った。高原列車のポニーという愛称でも知られ、多くの人に愛された機関車だった。やがて…

日本TV「ファーストペンギン」

奈緒主演のドラマ。堤真一や吹越満も出ている。初回はあんまり面白くなかったのだが、後半、奈緒がぶちぎれた場面の、そのぶちぎれ具合があんまり良いので、2回目も見た。奈緒は以前から気になっていたし。脇役の伊藤かずえが大きくなっていたり、梅沢富美…

東京バレエ団 マカロワ版「ラ・バヤデール」東京文化会館

14日の公演は団体の学生さんが下の階で、一般客は3階から、私は正面からだった。ラ・バヤデールはインドのお話らしく。エキゾチックな衣装でとても素敵だった。ストーリーは愛憎泥沼劇で早い展開で飽きさせないが、やや複雑なので事前に理解しておく方がい…

NHKスペシャル「人体」取材班/坂元志歩「人体VSウイルス 驚異の免疫ネットワーク」医学書院(2022)

知り合いの本を読んだ。3年もコロナに翻弄されている私たちだが、私のコロナウイルスについての知識はぼんやりとしていた。ワクチンも言われるまま3回受けたが、ワクチンのメカニズムも実はよく知らなかった。しかしこの本のおかげで、やっと何が起こって…

フリーマントル 新庄哲夫訳「KGB」新潮選書(昭和58年)

古い書棚から持ってきたロシア系の本。プーチン大統領でお馴染みのKGBのお話である。私のKGB知識はスパイ映画くらいなもので、何も知らない。この本は、スパイ小説で人気の作家が書いた本当のお話らしく、身の毛もよだつ話が満載だった。今から40年前の本で…

中村紘子「チャイコフスキーコンクール ピアニストが聴く現代」新潮社(1988年)

本が出た頃に読んだ記憶がある。30年の月日を経て再読。今読んでも面白い。年月を越えても変わらぬ面白さ、素晴らしさ、当時の私は知る由もなかった。我が家の古い書棚にある数少ないロシア系の本として手に取ったのだが、ロシアという国を知るという点でも…

「李兎煥 Lee Ufan」国立新美術館

前から見たかったのだが、なぜ見たかったのかは思い出せない。最近忘却力がすごい。雨の国立新美術館は二科展のせいか、予想以上に騒騒しい。喧噪から一転して会場は静かな世界。リ・ウーファンは現代アートの人で韓国出身だが、日本での創作も長く、今では…

橋本治「青春つーのはなに?」集英社文庫(1991年)

今回の橋本治は前半が難解だった。途中から理解することを諦めたら、やはり橋本治はいいなあと思った。巻末の解説の中野翠さんを読んだ。なんだ、わかんないのは、私だけじゃないんだと知り、橋本治がまた好きになった。彼の本は、どこに連れて行かれるのか…

NHK夜ドラ「あなたのブツここにあります」

久しぶりの夜ドラヒット。先週は危うく泣きそうになった。大阪のキャバクラで働いていたシングルマザーのお姉さんがコロナで騙され困窮して宅配業界で働くお話。コロナを扱ったドラマはそう多くはないが、その中でもかなりの秀作だと思う。主演の仁村紗和ち…

佐藤勝「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」新潮社(2005年)

これもロシア関連本として読む。四半世紀前に、北方領土返還にむけて奔走していた鈴木宗男さんと佐藤勝さんがよくわからない容疑で捕まった話。そして当時、外務省でロシアの情報分析をしていた佐藤勝氏が、鈴木宗男氏をターゲットにする国策捜査について語…

日本TV「家庭教師のトラコ」

遊川和彦さんの脚本。彼の朝ドラは不評だったけど、私は彼のドラマが好きだ。今回はお気に入りの橋本愛ちゃんが主演。3人の母とその子どもたちを教える家庭教師のトラコ先生のお話。台詞の随所に、世の中、そんなに甘くないけど、ただ戦いもしないやつをオ…

「ルードヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡」 国立新美術館

毎日書道展を見に行った時に気になった展覧会。12時の回からの入場券だったが、余裕があったようで11時から入場できた。館内はちょうどいいくらいの人の入りで、一枚一枚ゆっくり見られ、最高の鑑賞空間。ケルンにある個人の収集家ルードヴィヒ夫妻が寄贈し…

TBS「石子と羽男 こんなコトで訴えます?」

初回見た時はしっくりこなかったが、回を重ねるごとに面白くなってきた。最初に感じた違和感は中村倫也のファッションからか、有村架純の演技の既視感かよくわからない。見れば見るほど心地よくなるのは、「拙いけど誠実がいいよね」を描いているからかもし…

ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟1~5」亀山郁夫訳 光文社古典新訳文庫(2006)

人生で初めてのドストエフスキー。ようやく全5巻を読み終えた。マラソンでも走ったかのような達成感。読んでいる間は、濃密で緻密な話に、ドストエフスキーを生んだロシアの大地に思いを馳せた。ウクライナとの戦争が始まって、ロシアのことを知りたくて読ん…

PLAN75(2022)

75歳になったら自分の意志で死ぬことができる法律、「PLAN75」は、国の施策で、支度金10万円を貰って安楽死しましょうという国による高齢者削減プログラムだ。映画の最初の方に、75歳くらいの女性が、プラン75のパンフレットを持って相談にやってくる。「一…

NHKドラマ10「プリズム」

杉咲花ちゃんがうまいのでまた唸ってしまった。毎度違うタイプの役柄を巧みに演じている。今回はちょっと暗い女の子。中学の時に両親が離婚しているモラトリアムな女子。父の吉田栄作は実はゲイで今は東京で男性と暮らしている。母の若村真由美は、娘に過干…

フジテレビ「魔法のリノベ」

波留ちゃんが出ているのはだいたい見ている気がする。そこに間宮祥太朗君が出ているので、これは見なくてはならない。「リモラブ」もよかったな。間宮君はどんどんよくなって、今は匂い立つという感じ。そこに波留ちゃんの元カレ、ヤバイ男役に、金子大地。…

NHK-BSP「中森明菜スペシャルライブ2009横浜」

13年前の明菜ちゃんのカバーライブ。折れそうな細い肩を出した黒のノースリーブと紫のロングスカート。ストゥールに座りながら、フォーク、ニューミュージックの名曲を次々と歌う。選曲が渋すぎてびびる。1ミリも光がない。歌い方も息のこもったあの歌い方で…

フジテレビ「競争の番人」

お仕事シリーズのドラマ。今回は公正取引委員会のお仕事。主役は星野健太郎と杏。星野健太郎は変わり者のエリートが多いが、今回もその役。お父さんの恨みを抱えて権力と戦うみたい。もうすぐフランスに移住する杏ちゃん。警察から左遷されて公取委に配属に…

TBS「オールドルーキー」

この枠のドラマは苦手だ。中高年男性が喜びそうな展開をするからだ。トップガンマーベリックと同じ。主役の綾野剛くんが旬を過ぎたサッカー選手を演じる。引退してスポーツマネージメントの世界に入る不器用なスポーツマンが臥薪嘗胆して頑張るお話のようだ…

再開館を寿ぐ「三番叟」「二人袴」パルテノン多摩

野村万作、萬斎、裕基の野村親子3代揃っての狂言と舞の公演。三番叟は萬斎。二人袴を万作さん、裕基君が演じる。万作さんはなんと90歳の舞台。それがまた素晴らしい。まさに神。日本の宝、さすが人間国宝だ。動き、表情、居ずまい、孫裕基くんが演じる息子…

「トップガン マーベリック」(2022米)

私の年代の人なら見に行く映画。たまたまドルビーシネマだったけど、この映画ならその価値があるかも。お話は還暦の戦闘機乗りであるトムクルーズが年齢を感じさせない活躍でトップガンの若者たちと一緒にまだまだ頑張るって話である。還暦ファンタジー。ジ…

村田沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」朝日文庫(2015年初版)

同級生とご飯を食べていて話題にのぼった本。中学時代からの女友だちアルアル話から是非にとすすめられた。スクールカーストという言葉がない時代を生きてきたが、ヒエラルキーがなかったわけではなかった。この本は小学生から中学生に向かう少女たちのドロ…

柞刈湯葉「人間たちの話」ハヤカワ文庫(2022)

「ゆる言語学ラジオ」の堀元君が好きな作家だというので読んでみた。久しぶりに新しい本を読んだ興奮もあるが、大変面白かった。当たり前だが、古い本にはない「今」があった。短篇小説集で、どれもシニカルな視点とさらっとした読み心地がある。それなのに…

TBS「持続可能な恋ですか」

春ドラが特にどうというわけではない。ドラマについて書き続けているのは、私自身のアウトプット修行の一環なのだ。なるべく文章にまとめて頭の整理整頓、活性化につとめている。さて、このドラマは上野樹里主演のラブストーリー。だが、恋愛モノとしてはパ…