2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

吉原高志・吉原素子編訳「初版 グリム童話集」白水社(1998年初版)

グリム童話は初版から半世紀ほどかけてグリム兄弟によって何度も書きかえられている。現在の私たちがよく知る物語は第七版をもとにしているらしい。その初版から選りすぐったものを集めた本がこれ。残酷だったり、お行儀が悪いのやらあって、童話らしくなく…

東洋文庫ミュージアム

秋の日の午後、ただ券をもらったので駒込までお出かけした。もらわなければ行かなかったし、存在さえ知らなかったところだ。六義園の近所で立派な建物。厳重な感染予防対策をして中に入る。ここの呼び物は2階にあるモリソン書庫。洋書が一杯、照明が絶妙で…

藤沢周平「刺客 用心棒日月抄」新潮文庫(昭和62年初版)

困ったときの藤沢周平。安定の読み心地と満足が得られる。これは用心棒日月抄のシリーズのひとつのようだ。主人公の青江又八郎は剣の達人。元家老の密命を受けて脱藩して江戸へ赴く。用心棒のバイトをしながら、藩の密命を背負った特殊工作員たちを救いに行…

松本清張「点と線」新潮文庫(昭和46年初版)

松本清張が有名になった小説らしい。ドラマを見たりしていたので、おおよその中身は知っていたのだが、小説を初めて読んだ。薄いからあっという間に読めた。今では珍しくないが、アリバイ崩しがテーマである。時刻表を読み解いて犯人のアリバイを崩す。昭和…

「82年生まれ、キム・ジオン」(2020韓国)

本がベストセラーで世界中で翻訳されているらしい。古い本ばかり読んでいるので知らなかった。82年生まれの既婚女性が主人公。子育てを機に仕事をやめて専業主婦をしている。社会から切り離されて心を病んでいく女性を描いている。こういうと、メンタル弱め…

「星の子」(2019)

芦田愛菜主演の映画。お父さんが永瀬正敏、お母さんが原田知世。両親が新興宗教の熱心な信者でその娘の揺れる心を描いている。静かな映画で押しつけがましい所はないが、少し食い足らない感じもした。イケメンだけど性格の単純そうな中学教師に岡田将生。新…

阿川弘之「山本五十六(下)」新潮文庫(昭和48年初版)

巻末の解説によると、単行本が出てから遺族からクレームがついたとか。著者はそれで300ページも書きたして本書となったらしい。最初のどの部分が問題だったのか、読みたくなるね。下巻は真珠湾攻撃から始まって、山本五十六の国葬あたりまでが描かれる。上巻…

NHKドラマ10「タリオ」

全然期待してなかったのだが、見るたびに好きになっていく。浜辺美波の奇妙な小娘弁護士役もどんどんツボに入ってきて今では楽しみになってしまった。岡田将生君と浜辺美波のダブル主演。復讐代行の話。浜辺美波がいい。すっとんきょうな魅力をだして、相手…

TBS「恋する妻たち」

大石静の脚本だから、これくらい生々しくても当然なのだが、さすがだなあ。おいくつなのかはわからないが、昔から変わらず、女性のえぐさを描いてくれる。ドラマは、木村佳乃、吉田羊、仲里依紗が恋する妻たちを演じる。初回から不倫、夫の失踪、部下からの…

阿川弘之「山本五十六(上)」新潮文庫(昭和48年初版)

阿川佐和子のお父さんの本。威厳あふれる怖いお父さんのエピソードを聞いていたので、さぞかし難解なのではと思っていたのだが、全く逆。山本五十六という人間が魅力的なこともあるが、緻密な調査がうまく整理されていて、山本五十六のいた時代が生き生きと…

「浅田家!」(2019年)

懐かしい風景の中で人気の俳優さんたちが懐かしい言葉を話していた。不思議な感覚。前々から話を聞いていた映画を見た。公開から1ヶ月、終わってしまう前に見なきゃっと。写真家浅田政志さんの話。家族写真を撮る写真家で、自分の家族から始まって、いろん…