ジョーカーJoker(2019)

話題の映画をやっと見た。すさんだ街、ゴッサムシティのピエロがジョーカーになるお話。主人公アーサーは心に病を抱えていた。ピエロのメイクをして街角に立つサンドイッチマンの仕事をしている。何も悪いことはしていないのだが、気味が悪い人である。それもあって街のならず者にぶちのめされたりと、ひどいめによくあう。家に帰れば、神経症の老いた母がいる。家族は二人。心やさしい息子だが、社会的には落伍者。ちょっといっちゃっている。市は財政難から福祉サービスを打ち切る。街はますます荒れていく。アーサーもだんだん手に負えない人になっていく。全く救いのない話だが、不思議と惹き付けられていく。美しい映像だし、アーサーは気味悪いけど全くの悪ではない。世界が持つ者と持たざる者の隙間を広げていく今、ベクトルは愛と平和、融和から遠ざかっていくばかり。誰もがジョーカーだし、いつジョーカーになるかもしれない。世界はそれでも動きを止めない。はて、私たちはどうしたらいいのだろう。正解はない。