斎場御嶽(せーふぁーうたき)

沖縄県南城市の東端に斎場御嶽はある。世界文化遺産になった琉球王国最高の聖地である。ここ最近のスピリチュアルブームでパワースポットとしても人気が高い。2年前の訪問時には一杯で入るのを諦めた。今回は平日のせいか人も少なく静かだ。亜熱帯の木々の合間から日の光がこぼれおちる。大きなサトイモの葉や放射状に伸びたシダ類は本土では見られない。石づくりの神域の周りを鬱蒼とした緑が覆う。2つの大きな鍾乳石が作りだす三角の空間、薄暗い岩間に光がさす。そこを通り過ぎると祈り場がある。東をのぞむと神の島「久高島」が見える。このあたりの「拝所」を巡ることを「東御廻り(あがりうまーい)」という。東は太陽が昇る方向で「あがり」と読み、西は、太陽が沈むため「いり」と読む。今もこの場所で祈りは続けられている。人は祈らずにはいられない。祈ったところで何も変わらないし、祈ったところですべてがうまく行くわけではない。でも祈らずにはいられない。祈ることで神を自らの心に呼び寄せる。心は揺れる。純白に輝いたかと思えば、真っ黒な闇に落ちる。だから祈らずにはいられない。神の声を聞かずにはいられない。