生誕100年 堀文子 追悼展 ―旅人の記憶― 日本橋高島屋SC

1918年生まれの堀文子さんは美しい方だった。今年の2月、100歳でお亡くなりなった。残念ながら追悼展で初めて作品を拝見した。友人とのドクダミ話から存在を知り、会期ギリギリで日本橋高島屋8階、九州展の匂いがする会場に赴いた。美しい堀さんか描いた絵は凛としていた。上品で華やか。ピンクの色使いが素敵だ。描き方も変幻自在。洋画であったり、日本画であったり、クレーのようで、ミロのようで、いわさきちひろ風だったり、何ものにもとらわれない自由さがあった。同時に絵に対する自分自身への厳しい目線も感じた。子ども向けに書かれた一連の絵が特に良かった。「子どもには最高のものを見せなければ」と描いた作品は、きめ細やかで暖かい。上等なタオルのように包み込む。「群れない、慣れない、頼らない」堀文子さんはひとりの孤独と自由を味わい、そして戦ったのかもしれない。「ひまわりは枯れてこそ実を結ぶ」。ほんのり黄色のこの絵ほ、茶色になったひまわりが重そうにうつむいている。枯れているのになぜかひまわりは満足気なのだ。帰りにポストカードを買った。展覧会では心に残った作品のカードを買って帰ることにしている。今回買った1枚は、「芒(すすき)」。黒い背景に銀色のススキ、綿毛が飛んでいる絵だった。この絵は堀さんの本の表紙になっていた。本のタイトルは「ひとりで生きる」。最後までしびれた展覧会だった。合掌。