「英国人の患者」という邦題でも良かったかもと思った。ラストになってタイトルの意味するところが分かり、そもそも邦題ならもっと印象的だったのではと思ったからだ。映画は第二次世界大戦下のヨーロッパ。重症を負った英国人の患者を献身的に看護する看護士との関わりを通して、英国人の患者の過去のお話が語られる。看護士ジュリエットビノシュが魅力的で、彼女のインド系恋人キップが私はなかなか好きだった。お話が二重構造になっていて面白いが、2時間半もあるので少しダレる。私がヨーロッパの歴史に詳しい、もしくはヨーロッパ系の人間ならもっと楽しめただろう。細やかな部分は、極東のアジア人には難しかった。出て来る人の顔やら名前やら、発音やら聞けば、ヨーロッパの人ならその人の国籍やら属性がなんとなく分かるだろう。そのあたりが味わえなかったのは残念だった。とはいえ、砂漠を3日3晩歩き回って恋人を助けようとする男の情熱やら感じ入るところはあったし、大作らしい雄大さもあった。ほぼ満足なのであるが、欲張ってしまう。足るを知らない。まだまだ修行が足りないね。