「ミッドナイト・バス」伊吹有喜 文春文庫(2016)

友人の勧めで新潟に行く前に読んだ。新潟の高速バスの運転手がこのお話の主役。伊吹作品は2個目で、「イヌのいた季節」以来である。彼女の作品は映像化されているものが多い。このお話も映画化され、読んでいると確かに映像が浮かんでくる。深夜バスの運転手を巡って離婚した奥さん、未婚の息子と娘、年下の恋人が絡まり、小さなエピソードが重なって、大きな渦となって最後はホッコリ終わる。読後感はよかったが、欲を言えば、もう少しパンチが欲しかった。刺激を求めるのは悪癖だね。ちょっとした会話でも皮肉を言ってしまい、失敗も多い。心ない言葉で人を傷つけたことも多々ある。今更反省しても過去は取り戻せないから、せめてこれからは気をつけねばと思っているが、老化ですぐ忘れる。恥の多い人生だが、恥をかいている自分のこともすっかり忘れられるのだから、いいんだか、悪いんだか。さて新潟、米どころでお米もたくさんあって、ご飯は本当に美味しかった。本当にお米は一体どこに消えたのだろう。どうも本当に大切なことを見逃して瑣末なことに一喜一憂しているような気がしてならない。