足立美術館

遠い昔、まだ20代の前半の頃、友達が足立美術館に行ってみたいと言うのを聞いてどんな素敵な美術館なのだろうと想像した。それ以来、いつかは行こうと思っていたのが、先日やっと思いがかなった。訪れた日は雨上がりの午後だった。団体バスが何台か泊まる駐車場の奥に美術館はあった。一番最初は工芸品。立派な螺鈿細工の品々が並ぶ。そのあとが有名な庭園が登場。苔、枯山水、青海波の庭を見た。枯れ葉ひとつ落ちていない完璧な日本庭園は見事である。奥に立ち並ぶ山や滝をちゃっかり利用する「借景」。実際見ると見事な調和、ゆっくり喫茶ルームでお茶でも飲んで眺めればよかった。空き家の庭と格闘するようになって、庭いじりが好きになった。こんな整然とした庭は目指せないが、四季折々の楽しい庭にしたいものだ。入場料は2300円で高めだが、足りないと思う。ガヤガヤうるさい団体客を一杯入れても。物価高と凋落崩壊中の我が国では、文化振興政策も自助なんだろうなあ。美しい庭を眺めて暗澹たる未来が見えて切ないが、なんとか乗り切って荒波の向こうへ行くしかない。まあ、本当の荒波はこれからなのたけど。