太田昭彦「山の神さま・仏さま 面白くてためになる山の神仏の話」ヤマケイ新書(2016)

山と溪谷社がこんな新書を出しているんだとまず驚いた。著者は山登りのガイドさん。この方と一緒に山に行きたいなあと思った。山にまつわる神様のお話はそれぞれ面白いのだが、読み終えるのは難儀した。きっと山登りの時に聞いていたなら、さぞかし心に響いたことだろう。もしくは山登りを頻繁にしている人なら響くにちがいない。だって山と溪谷社だもん。そもそも私が読むべき本を間違えたのだ。すみません。この本を読みづらく感じてしまった理由は文体。丁寧な話し言葉で、語りかけるような文体に神様のお話、なんだかスピ系のヨガクラスに参加しているような気分になった。その世界をよく知っていれば心地よいのかもしれない。しかし門外漢にはその心地良さが居心地の悪さになってしまった。しかしこれもご縁。やっと涼しくなったことだし、山登りもいいかもしれない。野山を歩き自らと向き合う時間は、静謐な寺で座禅を組むことにも通じる気がする。爽やかな空気を味わいながら、心の宇宙に向き合うことが出来たら上等。脚下照顧。まずは足元から。近所から歩き回ってみようかな。