2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

浅野秀剛「浮世絵は語る」講談社現代新書(2010年)

浮世絵の考証の話だった。最初はどこに連れていかれるのやらと思って読み進めていたが、読み終えると浮世絵の楽しみ方が広がった気がした。いつ、どこで、誰を描いた作品かを考えることは、言われてみれば当たり前だが、当たり前を想像することもなく今まで…

丸谷才一「大きなお世話」文春文庫(1978年)

丸谷才一のエッセイ集。1970年前後に「アサヒグラフ」に掲載されたものを集めたもの。今からもう50年前のエッセイで、社会時評風なのでどうかなあと思ったが、時代変われど嘆きは同じ。丸谷才一の巧みな語りで面白く読んだ。当時の佐藤内閣のお粗末さを嘆く…

井伏鱒二「黒い雨」(新潮文庫

映画「黒い雨」は確かスーちゃんが矢須子を演じていた。白い肌に黒い雨が印象的な映像で、あのシーンだけ今も思い出す。小説は広島の原爆投下から数年たった頃、叔父の重松が姪の矢須子の縁談がうまくいかないことを不憫に思っているところから始まる。重松…