TBS 「アンナチュラル」

石原さとみは凄いなあ。彼女が出ているドラマはなぜだか見てしまう。華があるというか、演技がうまいというか、役柄にスポッとはまってドラマを引っ張るというか。今回は解剖医。両親が練炭で無理心中し、彼女だけが生き残ったという設定だ。「99.9刑事専門弁護士」の松本潤の設定と似ている。主人公は頭脳明晰な専門職。一見、脳天気に明るいのだが、過去が深刻、時々フッと闇を見せる。石原さとみの演じるミコトの同僚が市川実日子シンゴジラだね。窪田正孝は弱そうだが裏がある。日曜美術館井浦新は、暴力的な変人。上司は孤独のグルメ松重豊。脚本が「逃げ恥」の野木亜紀子。豪華なドラマである。99.9もそうだが、世間の網の目から漏れた者の叫びを拾い上げる救世主的なドラマ。救世主自身も痛みを抱えていて、大上段に構えるわけでも、過剰に微笑むわけでもない。ただただ自分も自分が生きるので精一杯で、あんたのことなんて考えているヒマなんてないんで・・・っていう態度で、埋もれた叫びや忘れ去られた苦しみを掘り起こしていく。今どきはこういう風に善行を行うのが一番スマートなんだろうな。上からでも横からでもなく。へりくだることもなく。