はじまりのうた Begin Again (2015 米)

音楽映画が好きだ。セリフが歌になるミュージカル映画のことではない。音楽にまつわる映画。この映画はライブハウスの映像から始まる。ステージの男性ボーカルが「次はガールフレンドに歌ってもらう」と言う。客席から嫌々ステージにあがった女性が歌う。このシーンがそのあと視点を変えて3回出て来る。同じシーンを別視点で重ねて見せることで、偶然性が強調されて面白かった。落ちぶれかけた音楽プロデューサーはある女性ミュージシャンに光明を見いだす。ある女性は、音楽仲間だった恋人が売れて、やかて浮気され別れる。そんな2人が出会いアルバムを作りだす。面白かったのは、女が男の浮気に気づくところ。長期出張から戻った彼のデモを聞いて突然騒ぎだす。アレンジが違うのだ。心の変化が音楽に出ているというのだ。男の人には驚きでも、女性なら納得の場面。アルバムを作る過程で、登場人物たちは純粋に音楽を作る喜びを見出し、愛情を取り戻したり、手放したり、成長したり、傷を癒したり。余韻を残したままの終わり方もおしゃれだった。私たちはそれぞれの世界で生きるいる。だかららこそ、声を合わせ、リズムを合わせ、作る世界は美しい。音楽はまさにそれ。Life Is beautiful、そういうことだね。