白井聡「武器としての『資本論』」東洋経済新報社(2020年)

ラジオの番組に出ていた時の直截な物言いにひかれて、読んでみたいと思っていた本だ。マルクス資本論なんて、自分には関係がない世界だと思っていた。武器としての資本論武装しないと生きていけないのかと思ったが、誰でも何かで武装している。さて、武器になる「資本論」の文章は分かりやすく、適切な例示のおかげで途中で迷子にもならず、最後まで読めた。学校で教わった言葉、資本主義、封建時代、社会主義など、実はそういう意味だったのかと感動した。随分ボーッと生きてきてしまった。今の社会問題である分断や貧困の正体もこの資本主義という巨人が起こしているらしい。暴走する巨人は私たち個人の小さい力では敵うわけない。ただ手をこまねいて、自分が悪いと悲観している若い人に読んでもらいたいかも。君は悪くない。悲観して自殺する人が減るといいのだけど。そういえば、作者白井聡さんはユーミン老害だとか、早く死ねばいいとか、いうような言葉を放って物議をかもした人である。国民的教祖ユーミン様に暴言を吐いたので、四方八方から叩きのめされたことだろう。ユーミンは怒っていないから、あんまり懲りずに、これからも言いたいことを言ってほしい。資本主義という巨人と戦うためには、こういう人も必要だと思う。