哀れなるものたち(2023英アイルランド米)

とても面白かった。映像も脚本も素晴らしいし。美術も衣装もとてもオシャレ。主演のエマ・ストーンがなにより素敵。久しぶりに100点をあげたくなる映画だった。時代は近代。天才外科医が臓器移植して作り出した女性ベラが解放、成長していくSFファンタジー?。ウィレム・デフォーがツギハギ顔の天才外科医。その外科医が作り出したベラを演じるのが、エマ・ストーン。大人の女性に新生児の脳味噌を持つため、行動は破天荒だが、純粋で素直、何より学び成長する力が凄い。彼女が博士の元から出て旅に出る。過激な学びの末、自由で聡明な女性になって戻って来るお話。面白くて皆にすすめたいが、男性が、見ても同じように面白いと感じるかは分からない。まあ、それはそれ。さて、私たちは生まれながらにして良かれ悪しかれ制約の中で生きている。その中でも親子関係は最大であり、人生を左右する。「親ガチャ」なんて言葉もここ最近はよく耳にする。親子の絆が尊く大切だという一方で、大きな足枷でもある。この映画のベラには親がいない。親がいない不便さはなく、ただただ自由なのである。そこが響いたのかはわからないが、見終わったら明るい気持ちになっていた。やっと親のいない人生を歩んでいる。本当の自由はこれからかもしれない。