思ったよりも面白かった。名前は知っているが、実際に何をした人なのか全然知らなかったからだ。これを見てから、クリストファー・ノーランの「ダンケルク」を見に行けば良かったと思った。映画は第二次世界大戦、ドイツがフランスを追い詰め、イギリスはチェンバレン首相が辞任、戦時下の首相にチャーチルがなるところから始まる。風采のあまり上がらな小太りの男がチャーチルで、最後まで徹底抗戦を訴えて、ヒトラーから英国を守るという話。ウクライナ、イスラエルの戦いが続いている今、一刻も早く戦いを止めるよう手を尽くすのが正解のような気がした。しかしあのときの英国は徹底抗戦で進むのが正解だったらしい。正義も立っている場所で全然違うから難しい。映画では、チャーチルの家族がよかった。妻は美人で聡明、チャーチルを叱る母のような存在。強くてチャーミングだった。首相就任の日、家族で祝杯をあげるシーンが印象的。ヘマをしないように家族みんなで声を合わせて乾杯をするのだ。いい家族だなあ。映画後半に、チャーチルがダンケルクの若者を救うために、カーレーにいた師団を見捨てる。師団長に送る手紙には、救援には行かないと二度繰り返し告げていた。直後の爆撃シーンは印象的。誰かの犠牲の上で誰かを救う。誰を助け、誰を切り捨てるかを見極めるのが、政治家の仕事なのかもしれない。みんなが幸せに暮らせるのが一番だが、そういつもうまくいかない。誰かが泥をかぶらねばならない。現実の戦争はまだ終わりが見えない。一刻も早く終わってほしいが、最善の道への答えはまだ出ていない。