すずめの戸締まり(2022)

録画してあった新海誠監督の最新作。タイトルが「すずめ」とひらがなだったので、てっきり鳥のスズメが戸締まりする話かと思っていた。いやはや、すずめは鈴芽。女子高生の鈴芽。同じ監督の作品を何本か見ていると監督の好みのようなものが見えてくる。新海監督は、地方の町と、女子高生、天地に潜む大きな力?かな。主人公の鈴芽は偶然で会った青年と廃墟で扉を見つける。たまたま手に取った石の猫像の穴から大地を揺るがす大蛇ミミズが現れ暴れ出す。鈴芽は青年と共に、ミミズを抑えるために奔走し、やがて遠い記憶の自分と出会うというお話。新海誠作品ではこれが1番好きかもしれない。絵が好き。「天気の子」より、力が抜けてたし、「君の名は。」より丸くなっていた。アニメも漫画も絵がいのちだよと思う。さて、大きな傷を負ったあの震災から、月日は随分経ってしまった。あれからも天災は続き、悲しみは絶えない。人生は永遠に終わることのないレンガを積む作業なのだろうか。最後のレンガを積む日まで痛みの記憶を抱えたまま生きるのである。ただ人生には喜びもある。何かの機会に痛みがぶり返すように、喜びも気まぐれに訪れる。ひねくれずに淡々とレンガを積んで行こうと思う。耐えきれず積めなくなった人を責めることもなく。ただ今日を生き、明日まで眠る。その繰り返しでいいのかと思う。だんだん思考が禅的世界になってきた。映画とは全く関係ない。映画は若々しい。見ている自分がただ老いてきたたけ。