宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短篇コレクション中 文春文庫(2004年初版)

宮部みゆき御推薦の松本清張の短篇集の2冊目。前半は悲しい女の話、後半は訳あり男の話。まさに私が思う松本清張の王道。加齢のおかげで世の中の悲哀が多少はわかるようになった。お姉ちゃんの旦那さんを愛してしまう妹の没落とか、騙されてひっそり死んでしまう療養所住まいの女や。今では信じられない話だが、30歳を超えた女性が「行かず後家」と言われ、居場所がないなかでも地味に真面目に生きる話とか。薄幸だからといって他人を貶めるようなことをするとは限らない。宮部みゆきの言葉通り、松本清張の目線は冷徹だが、弱者への目は暖かい。後半の男性シリーズは一転して男性の愚かさや女々しさが存分に描かれていて面白い。結局、男も女も人間、欲望を抱えながらただ安穏な生活を求めているだけ。生きることはキレイごとだけではすまされない。動物は大好きだけど、焼き肉も大好物~という事と同じなのかもしれない。コロナウイルスのおかげで世の中はガラガラポンの混沌の海。前の暮らしに戻れない。戻らなくていいのだ。苦しんでいる人もいるが、喜んでいる人も少なからずいる。新しい世界、どうなるかわからないからこそ、座れる椅子が増えてきた?サバイバルしていく力を今は試されているのかもしれないね。