NHK土曜ドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」

脚本は渡辺あや。意外だったが、だから好きなのかぁと思った。主役は松坂桃李君。今どきの青年がアナウンサーを辞めて大学の広報に入って、論文データ改ざんなどのトラブルに対応する話。風刺一杯のドラマで今の世相を描いている。モノが言えないテレビ報道に代わってここ最近のドラマはセリフが濃い。言いたいことを登場人物に言わせるやり方は、強権政権下にはよくある手法。過去の歴史の中の出来事だと、あぐらをかいていたらビックリ。世の中はトンでもないことになっていた。コロナ禍で今まで見えていなかった不正や崩壊が明るみなった。おかげて安穏と暮らしていた私たちはその損失の大きさに暗澹たる気持ちになっている。毎日続く訳わからない会見、辟易している私たちには、まだ真実を語り出した学長の松重豊さんは現れない。情けない主人公は、私たち自身でもあり、彼が成長していく姿に自分たちの可能性を見ることが出来るのかもしれない。今の暗黒の現実は、主にジイさんたちが懸命に守っている。ジイさんを叩けば済むのか。排除したら良くなるのか?まだ自分にも何かできるはずだと信じたい。このドラマにそのヒントが隠されているといいのだが。とりあえず、コロナ禍を乗り越えて生き残こらねば。死んだらそれこそアイツラの思うツボだ。