NHKスペシャル「人体」取材班/坂元志歩「人体VSウイルス 驚異の免疫ネットワーク」医学書院(2022)

知り合いの本を読んだ。3年もコロナに翻弄されている私たちだが、私のコロナウイルスについての知識はぼんやりとしていた。ワクチンも言われるまま3回受けたが、ワクチンのメカニズムも実はよく知らなかった。しかしこの本のおかげで、やっと何が起こっているのかが少し理解できた。テレビ番組の関連本なので、写真やCG、模式図がふんだんにあって素人にもイメージしやすい。科学の知識は大切だ。怪しい人や宗教に惑わされずに済むかもしれないし。今まで漫然と体の声を聞いていたが、今は、好中球がパックマンのように体中を走り回ったり、インターフェロンが狼煙をあげたり、抗体がミサイル連射したりする様子が、脳内スクリーンに映しだされている。体の中の宇宙が少しリアルになった。とはいえ、少し前まで、壺でも売る勢いのスピリチュアルぶりだった私だったからこそ、目から鱗の本だったのかもしれない。真逆の世界に踏み出してみて、初めて自分の歪みが意識されるのかもしれない。知人のおかげだ。昨今、多様化が叫ばれているけど、人の数だけ正義があって、正義だけが実に多様化している気がする。私の正義が誰かの不快になり、隣人の迷惑になっているのかもしれない。ああ、とかくこの世は住みにくい。でも折角生まれてきたのたから、命ある限り、いろいろ知りたい見たい食べたいものだ。好奇心を大切に。日々新たな挑戦を。年々その思いは強くなる。