古い書棚から持ってきたロシア系の本。プーチン大統領でお馴染みのKGBのお話である。私のKGB知識はスパイ映画くらいなもので、何も知らない。この本は、スパイ小説で人気の作家が書いた本当のお話らしく、身の毛もよだつ話が満載だった。今から40年前の本で、当時は冷戦、世界が2極化していた頃の話だ。KGBは怖ろしい組織で、読みながら何度も吐き気がした。これだけ自国民を殺してきたなら、他国の人を殺すなんて、わけもないはず。今の情勢もさもありなん。ソ連の秘密警察は、国内のみならず、衛星国と言われた東側の国にも縦横無尽に網を張り巡らせ、歯向かうもの、少しでも疑問を見せるものを、即座に殺害、徹底的に見せしめとした。結果、人々には深い恐怖を植え付けた。そんな世界で生きてきた国民は、半世紀経っても、絶対に本心など明かすはずはないだろう。怖ろしさは骨の髄までしみこんでいるはずだ。KGBは、東側世界のみならず、国連にも西側諸国にも入り込み、細部にまで浸透していたらしい。外交官は常に監視され、亡命の気配の片鱗でさえ致命的となった。絶対に裏切ることが出来ない仕組みが作られているのだ。ちょうど我が国の細部にまで、統一教会の種がまかれているように。KGBの種は簡単に取り除くことはできそうにないし、その影響は計り知れない。クリミア半島侵攻、その後のウクライナとの戦争。この本を読んで、その深刻さは増した。世界はあっと言う間にいびつになってしまった。戦争の火種がそこかしこに生まれ、どうしていいか分からない。もう止められないのだろうか。誰にも。