万作萬斎狂言公演「萩大名」「小傘」パルテノン多摩

野村家三代の狂言。万作さんは90才を越えてなお舞台を踏んでいる。驚くべき人間国宝で、萩大名の大名を演じる。萬斎さんと息子の裕基さんは小傘を演じ、2つとも新年らしく楽しい狂言だった。始まる前に、石田幸雄さんから狂言の説明があった。伝統芸能を見るのが初めての方への基本情報の提供である。イントロも含めて全部で1時間半。実質1時間で2狂言。これでお客を呼べるのはこの野村家三代だけじゃないだろうか。少し食い足りない感は否めない。集中力が落ちてきている時はいいかもしれないが、もっと見たいと思う。しかしそうなるとチケット代が一万円を超えちゃう。そうすると見に来る人は減ってしまう。ギリギリのせめぎ合いでこうなったんだろうな。万作さんのお孫さんにあたる裕基さん、背も高くて声もいい。将来が楽しみである。芸を継承することはとても素晴らしいと思う。当事者の苦労や辛さは全くわからないのだが、今頃になって、本当にそう思うのだ。継承するものは何もないのだけど、自分のところで終わってしまったので、余計そう思ってしまうのかもしれない。まあ、そういう人は今はごまんといるのだけど。