「小説家を見つけたら」Finding Forrester(2000年米)

ずっと以前に録画した映画。なぜ録画しようと思ったのかはもう忘れた。映画開始早々から目が離せなくなったのは主演の青年の表情のせいだ。なんとも言えないナイーブさと明るいふてぶてしさが同居した、いい顔なのだ。お話は文壇から姿を消した伝説の小説家と、文才あふれるブロンクス出身の少年との友情のお話。バスケットボールが得意な黒人少年が、白人で頑固な老人と心を通わせていくのだが、この小説家がショーン・コネリー。威厳があって気難しそうな役柄で、ショーン・コネリーにぴったり。私は彼が見たくて録画したことを思い出した。お話は長めだが、丁寧にプロットを描いている。ヤンキースタジアムに老小説家を連れていくくだりがよかった。自転車でニューヨークを走るショーン・コネリーも素敵だった。この作品が出た2000年、世界はグローバル化に進みだした頃だろうか。偏見差別は減り、世界はこれから良い方向に向かっていくのだという夢を私が見ていた頃だ。映画の主人公ジャマールは黒人であることから偏見を持たれることもあるが、周囲の多くが彼に対して公平で友好的であった。この映画はあきらかに今の雰囲気とは違う。20年後の今を当時は誰も思いもしなかったはずだ。一体、何をすればまた歩み寄れるのだろうか。今は答えが見つからない。この映画を見て、ショーン・コネリーのように生きるのがいいなあと思った。若い人たちを支えるのだ。終焉までの時間、花が開く喜びに関われたらさぞかし幸せだろう。誰かの為に何か出来たら、何も実を結ばなかった人生も、少しははなやぐ気がするのだ。