坂元志歩著・大阪大学蛋白質研究所監修「いのちのはじまり いのちのおわり」化学同人(2010年)

友人の著書。発売当時に購入したのだが、難しすぎて放置してあった。ここ最近の読者習慣のおかげで今なら読めるのではないかと思い頑張った。あらためてこんな難しい本を書いた友人を尊敬した。多少なりとも内容が理解出来たことも嬉しかった。自分が生まれた偶然性や、地球の歴史から見た我が身のちっぽけさや、体内の小さな細胞ひとつに潜む無限の謎など、何重もの入れ子構造を見るような話だった。タイトルの意味も読み終えてやっとわかった。いのちのおわりまでに読めてよかった。『今、分からないことも、時を経ると分かることがある。分からないのは準備が足りないだけ』と、大学時代の先生に言われたことを思い出した。いろんな事がある日突然つながるのは嬉しい。今は役に立たないこともある日何かの大事な部品だったと気づくことがある。私の存在も、職場でも家庭でも大した役にはたっていない。でもそれでいいのだと思った。価値は自分で決めなくていいし、ましてや他人に決めてもらうことでもない。それがこの本を読んでよくわかった。著者である友人に会いたくなった。